2009 Fiscal Year Annual Research Report
骨髄由来間葉系幹細胞とがん細胞の相互作用:幹細胞性獲得と浸潤・転移能に及ぼす影響
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21590370
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
仙波 秀峰 Kobe University, 医学研究科, 准教授 (00302092)
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Keywords | がん幹細胞 / 骨髄由来間葉系幹細胞 / Wnt5a / TGF-β / CD133 |
Research Abstract |
がん微小環境を構成する因子の中、骨髄由来間葉系幹細胞(BM-MSC)のがん細胞に及ぼす影響について検討を行った。高分化型胃癌細胞株MKN-7をBM-MSCと共培養行うと、細胞同士の集塊形成とともに、癌細胞はCD133やCD44といったがん幹細胞マーカー発現上昇を示した。実際、共培養中ではCD133陽性MKN-7細胞数は増加し、多分化能や腫瘍形成能などのがん幹細胞性が増していた。 この事実に基づき、BM-MSCとの共培養条件下でのMKN-7細胞に発現誘導される因子を同定するため、マイクロアレイによる網羅的遺伝子発現解析を行ったところ、細胞同士の接着に共通して誘導される65の遺伝子を同定することが出来た。この中からWnt5aとTGFIに注目し、共培養により癌細胞はWnt5a並びにTGF-βの刺激を受けている可能性が示唆された。免疫組織化学的検索により、Wnt5aはMKN-7細胞自身から、TGF-βはBM-MSCより分泌されているにとが判明したことから、MKN-7細胞をWnt5a並びにTGF-βにて処理を行い、癌細胞の変化を検討した。CD133陽性細胞数の増加とともにがん幹細胞性回復が確認されたことから、これら因子ががん幹細胞性の再獲得に非常に重要な分子であることが明ちかとなった。 同時に低酸素条件下におけるがん幹細胞性の変化についての研究も行っており、低酸素により誘導されるHIF-1αがCD133陽性細胞の増加に寄与するデータも得ている。構造的に安定なHIF-1α発現ベクターを膵癌細胞株PANC-1に導入したところ、CD133陽性細胞が顕著に増加し、癌細胞の進展や転移巣形成に重要な役割を果たす可能性を示唆する結果となった。
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Research Products
(2 results)