2009 Fiscal Year Annual Research Report
多発性骨髄腫微小環境でのNotch system異常の検討
Project/Area Number |
21590371
|
Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
竹内 保 Kochi University, 教育研究部・医療学系, 准教授 (50226990)
|
Keywords | 多発性骨髄腫 / 癌間質 / 低酸素状態 / Notch / Notch ligands / 骨髄微小環境 / 細胞間相互作用 / Ogfod1 |
Research Abstract |
多発性骨髄腫は中~高年齢で発症し骨融解による甚大な苦痛(病的骨折の多発)や腎不全など患者さんとその御家族に極めて重い結果を長期間強いる難治性血液悪性腫瘍の一つである。高齢化社会を迎える意味でも骨髄腫発生メカニズム、その阻害方法の検討をがんと問質の相互作用の視点より解明することの意義は大きい。 本研究で多発性骨髄腫の骨髄微小環境でのNotch,ligands,ligands,ユビキチン連結酵素の発現の差を検討した結果、それらの発現に影響を及ぼす新規酸素センサー分子、ogfod-1の同定に至った。 Myeloma nicheは低酸素状態であるが、低酸素を感知するセンサー分子ogfod-1が、ligand-dependent Notch system activationに必須なユビキチン連結酵素mib-2のpronyl化を低酸素状態で引き起こしmib-2の自己ユビキチン化によるproteasomeでの分解を免れしめていることを見出した。その結果、低酸素状態でmib-2は安定化し、ligand-dependent Notch activationを亢進させmyeloma nicheの活性化、すなわち多発性骨髄腫増殖により有為な骨髄微小環境を整備していると考えられる。 骨髄腫はmyeloma nicheに依存して増殖することが知られてり、がん細胞と間質細胞との相互作用が、骨髄腫増殖に必須とされる。したがって、本研究で明らかになった新規酸素センサー分子、ogfod-1の阻害方法を開発できれば骨髄腫の治療へ応用できる可能性がある。 さらにNotchシグナル活性化が、乳癌、卵巣癌、唾液腺癌、肺癌、皮膚癌、また脳腫瘍などの種々の癌細胞で報告されており、本研究の知見が、様々ながん細胞とその間質との相互作用の理解にもっながる、あるいは本研究の知見が応用できるとかんがえられる。
|