2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21590377
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
稲垣 宏 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (30232507)
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Keywords | 成人T細胞性白血病 / マイクロRNA / 臨床病理学 / 遺伝子異常 / T細胞 / 機能解析 |
Research Abstract |
マイクロRNAは、進化において保存されている20塩基程度の短い内在性non-coding RNAで、標的mRNAに特異的に結合し、mRNAの翻訳抑制を行い、遺伝子発現を制御している。マイクロRNAが遺伝子の少なくとも30%を制御していることや、腫瘍の発生や進展において重要な役割を持つことが次第に明らかにされてきた。われわれは成人細胞白血病/リンパ腫(ATLL)細胞株を用いたマイクロRNAアレイ解析を行い、数種類のマイクロRNA発現が、ATLL特異的に増加または減少していることを認めた。多くのATLL細胞株を用いて、これら数種類のマイクロRNAについてリアルタイムPCR装置にて相対定量を行ったところ、6種類のマイクロRNAで再現性が得られた。これらのマイクロRNAの持つ臨床病理学的な意義を明らかにするために、新鮮標本に対するリアルタイムPCR定量がパラフィン標本にても可能なことを確認し、6種類のマイクロRNAを相対定量した。そして多くの臨床病理学的因子とも関連を検討した。その結果、マイクロRNA-Xの高発現が有意に予後不良因子であった。このマイクロRNA-Xの機能解析を行うため、高発現している細胞株にsiRNAを導入し、その発現を抑制すると細胞増殖は有意に阻害された。よってマイクロRNA-XはATLLにおいて腫瘍細胞の増殖に重要な役割を有することが明らかとなった。現在論文を執筆中である。
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