2010 Fiscal Year Annual Research Report
急性冠症候群の発症メカニズムにおけるMPOとS100A8/A9の分子病理学的研究
Project/Area Number |
21590378
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
上田 真喜子 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (10137193)
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Keywords | バイオマーカー / 発症予知 / 急性冠症候群 / プラーク炎症 |
Research Abstract |
メタボリックシンドロームの増加を背景に、冠動脈硬化にもとづく虚血性心疾患患者が急増している。本研究は、冠動脈プラークの進展・不安定化に寄与する複数の因子、すなわち(1)好中球が産生するMPO、(2)リンパ球のインターフェロン-γにより活性化されたマクロファージが産生するネオプテリン、(3)活性化好中球/マクロファージから産生・放出されるS100A8/A9複合体、これらの相互連関について、分子病理学的に究明することを目標としている。 本年度は、病理解剖から得られた凍結材料や冠動脈アテレクトミー組織標本を用いて、病変部局所におけるこれら炎症/酸化ストレス関連因子の発現・局在レベルの変化を、主に免疫組織化学的手法を用いて検討を行なった。 結果として、(1)ヒト冠動脈の動脈硬化巣に集積したMPOは、不安定プラークで有意に高く、不安定狭心症患者における血中MPO値レベルは、不安定プラークにおける集積したMPO陽性細胞数と有意に相関している(Naruko T, Ueda M, et al. Heart 2010)、(2)安定狭心症患者においては、頸動脈硬化の複雑病変におけるネオプテリン高発現も関与している(Sugioka K, Ueda M, et al. JAT 2010)、(3)ヒト冠動脈のプラーク傷害部位には、血小板血栓形成に続いてMPO陽性好中球の集積がみられる(Nakagawa M, Ueda M, et al. JAT 2010)、などを明らかにした。 いずれもバイオマーカーとしてのMPOやネオプテリンの重要性を示唆するものであり、来年度以降もさらにこれらのバイオマーカーの相互連関などについて検索を継続する予定である。
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