2010 Fiscal Year Annual Research Report
肺癌における分子標的抗腫瘍薬チロシンキナーゼ抑制剤の耐性獲得機序多様性の解明
Project/Area Number |
21590384
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
蒋 世旭 北里大学, 医学部, 講師 (70276153)
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Keywords | 肺癌 / EGFR / MET / 分子標的抗腫瘍薬 / 薬剤耐性 |
Research Abstract |
1.平成21年度の研究結果と併せて、134症例の外科切除肺癌より、35(26.1%)症例にEGFR変異が確認され、そのうちexon 19欠損例は17例、exon 21点変異例は18例であった。変異例のうち32症例(exon 19→15例,exon 21→17例)からlaser microdissectionにて微量腫瘍細胞(cell cluster)を採取し、nested PCRによるDNA増幅後に遺伝子変異を分析した。Exon 19欠損例からは97個(平均6.47個/例)のcell clusterを分析し、そのうち25個は野生型、72個は変異型、15例のうち11症例は野生型と変異型の何れのcell clusterも有していた。Exon 21点変異例から採取した119個(平均7.0個/例)のcell clusterを分析した結果は野生型44個、変異型75個であり、17例のうち14症例は野生型と変異型両方のcell clusterを有していた。纏めると、25/32(78.1%)症例のEGFR変異にはヘテロジェネイティ性があることが明かとなった。 また、EGFR変異と腫瘍細胞の亜型や増殖パターンとの関係を統計解析したところ、篩状配列をとる腺管構造を形成する比較的分化度の低い腫瘍にはEGFR変異頻度が高い傾向が見られた。 2.TKI耐性を獲得した7症例の48病変より、4症例の13病変にEGFR exon 20のT790M変異が検出された。また、FISH法にて、1症例の3病変にMET増幅も検出された。 以上より、肺癌のTKI耐性獲得には、EGFR変異のヘテロジェネイティ性をはじめ、EGFRの二次性変異やMET増幅などの複数の因子が関与していると考えられる。
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