2009 Fiscal Year Annual Research Report
Dual-color CISH法の骨軟部肉腫の病理診断,予後因子検出への応用
Project/Area Number |
21590386
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
元井 亨 Teikyo University, 医学部, 准教授 (50291315)
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Keywords | CISH法 / 肉腫 / 染色体相互転座 / 融合遺伝子 / 分子病理診断 |
Research Abstract |
染色体相互転座は肉腫特異性の高い細胞遺伝学的異常であり、その遺伝子異常の検出は、肉腫の病理学的診断の大きな助けとなる。本研究の目的はホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)材料を用いたChromogenic In Situ Hybridization (CISH)法を確立し、組織像と細胞遺伝学的異常を同時に光学顕微鏡下で認識可能な精度の高い骨軟部肉腫診断法を構築することである。材料として滑膜肉腫(SS)12例及びSSと鑑別が問題となる軟部肉腫(Non-SS;4種類9例)のFFPE材料を用いた。SS特異的染色体相互転座t(X;18)の結果生じるSYT遺伝子の再構成に関して、TexasRed及びFITCの二色で標識したbreak-apart probeを作成し,dual-color FISH法及び抗Texas Red, FITC抗体を用いたdual-color CISH法を確立しシグナルの検出を試みた。また,同時にFFPE検体からRNAを抽出し,RT-PCR法によりSS特異的な融合遺伝子SYT-SSX1,SYT-SSX2の検出を行った。これらの3つの検出方法を比較検討した結果、60個の核の計測により,CISH法によりSSの全例でSYTの遺伝子再構成を示す解離シグナルが検出された一方,Non-SSはほぼ陰性であり、2つの群の区別が可能であった。この結果はFISH法と同様であり,RT-PCR法の結果(SSではSYT-SSX1;10例、SYT-SSX2;2例、Non-SS;いずれも陰性)の結果と一致した。結論として、CISH法は、FISH法の蛍光顕微鏡の操作の煩雑さや、蛍光シグナルの減衰の問題、RT-PCR法のプライマー設定やPCR法の再現性の問題などを克服可能で、さらに細胞形態と遺伝子異常を同時に可視化できる点で、実際のSSの病理診断に応用可能な精度の高い新たな手法と位置付けられた。
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Research Products
(5 results)