2010 Fiscal Year Annual Research Report
Dual-color CISH法の骨軟部肉腫の病理診断,予後因子検出への応用
Project/Area Number |
21590386
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
元井 亨 帝京大学, 医学部, 准教授 (50291315)
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Keywords | CISH法 / 肉腫 / 遺伝子増幅 / 融合遺伝子 / 分子病理診断 |
Research Abstract |
組織細胞形態と細胞遺伝学的異常を同時にホルマリン固定パラフィン包埋切片上で解析可能な手法であるdual-color Chromogenic in situ hybridization (CISH)法を用いた骨軟部腫瘍の診断法を確立する目的のうち、遺伝子増幅を有する腫瘍へのCISH法の応用について検討した。高分化型脂肪肉腫(WLPS)は頻度の高い低悪性度軟部肉腫であり、この10%は高悪性度の脱分化型脂肪肉腫(DLPS)に転化する。病理診断学的にはWLPSは良性脂肪腫,DLPSは多形型悪性線維性組織球腫(PMFH)との鑑別が問題となる。DLPS, WLPSに特徴的な細胞遺伝学異常としてMDM2遺伝子の増幅が知られている。WLPS6例及びDLPS6例の脱分化巣(DD)、高分化型成分(DW)で、MDM2、CEN12プローブを用いたCISH法を施行、WLPS及びDWの脂肪細様細胞(A)、非脂肪細胞類似細胞(N)、DDの腫瘍細胞(D)の3群の増幅シグナル陽性細胞(MDM2/CEN12>2.0)の60個中の割合を測定し、MDM2の免疫組織化学的陽性率と比較した。全例でMDM2増幅細胞が認められ、異常細胞の陽性率はWLPS : A46%/12%、N66%/29%、DLPS : A34%/8%, N54%/30%,D : 75%/42%(CISH/免疫組織化学)であった。以上よりCISH法は免疫組織化学より高率に陽性であるため、脂肪肉腫の診断の新しい診断手法として有用であることが明らかにされた。CISH法は骨軟部腫瘍の染色体相互転座の検出のみではなく、遺伝子増幅の検出にも適用可能であった。また、脂肪肉腫細胞の遺伝子異常及びタンパク過剰発現は一様ではなく、腫瘍の分化傾向の減弱と遺伝子増幅陽性細胞の増加の相関性が示唆された.
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Research Products
(10 results)