2010 Fiscal Year Annual Research Report
乳癌の遺伝子変異多様性とクロナリティー解析:癌細胞系譜の解明と再発治療の適正化
Project/Area Number |
21590387
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
増田 しのぶ 日本大学, 医学部, 教授 (20276794)
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Keywords | 乳癌 / クロナリティー解析 / MtDNA D-loop |
Research Abstract |
【目的】乳癌治療の個別化、とくに再発治療の個別的適正化をはかることを最終的な研究目標とし、癌細胞の遺伝子変異の多様性(heterogenity)とクロナリティー(clonality)との関係を明らかにし、さらに原発巣と再発腫瘍におけるこれらの変化を明らかにすることを目的として本研究をおこなった。 【本年度の検討内容および研究成果】 1.原発巣と再発腫瘍のクロナリティーの相違を検討するため、昨年度行ったandrogen receptor (AR)遺伝子多型解析結果をふまえ、以下の検討を行った。 2.同じ症例群について、mitochondrial DNA D-loop somatic mutationにより解析し、AR遺伝子多型解析結果と比較した。D-loop領域は遺伝子変異が蓄積する領域として知られており、遺伝子変異の樹形図を作成し、背景の非腫瘍性乳腺組織、原発巣、再発巣における遺伝子変異の近似性を検討した。ホルマリン固定パラフィン包埋切片からLaser captured microdissection法をもちいて、腫瘍細胞のDNAを抽出し、PCR法によりD-loop領域を増幅し、direct sequence法にて解析した。 3.AR遺伝子多型解析で判断できなかった症例についても、上記2の方法により判断が可能となった。 4.最終的に、同側乳房内腫瘤2/8例、対側乳房腫瘤10/11例(1例は判定できず)がクロナリティーの異なる腫瘍細胞からなると判断され、これらの方法論による結果は妥当であった。 5.乳癌のみならず、がん組織内に指摘される病理組織形態、免疫組織学的形質、および遺伝子異常には多様性と、癌細胞のクロナリティーとは分けて考える必要があり、細胞系譜を明らかにするための技術方法論が確立したといえる。
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Research Products
(7 results)