2010 Fiscal Year Annual Research Report
心筋梗塞の危険因子となる心筋架橋の特定と冠状動脈責任病変の病理組織学的解析
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21590388
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
石川 由起雄 東邦大学, 医学部, 准教授 (30276894)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤坂 喜清 東邦大学, 医学部, 准教授 (60202511)
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Keywords | 心筋架橋 / 心筋梗塞 / 冠状動脈硬化症 / 不安定プラーク / 血行力学 |
Research Abstract |
平成22年度は、左冠状動脈前下行枝(LAD)の支配域に心筋梗塞を有する剖検心の蒐集とその解析を行った。 (1)蒐集した梗塞心のLADの全長を採取し、大動脈入口から5mm間隔で切り出し、全切片をHEおよびEVG染色した。各切片を画像としてコンピューターに取り込み、内膜面積と中膜面積を解析ソフトで測定し、内膜/中膜の面積比を算出し、各切片における動脈硬化度とした。また、各切片における最も高度な病変と最も軽度の病変を、AHAの動脈硬化度分類にしたがって、5群に分類した。 (2)内膜病変は、石灰化、肩部泡沫細胞集簇、病変内出血、病変亀裂および血栓付着の有無を観察した。心筋架橋のある場合には、それら病変の存在位置と心筋架橋開始位置との関連を検索した。 (3)心筋架橋のある症例では、架橋の最も厚い部位の厚さ、架橋の長さ、架橋の開始位置について、非梗塞群のそれと比較した。 (4)現在、150例の梗塞心を蒐集し、心筋架橋を有する非梗塞心を比較すると、梗塞心では有意に心筋架橋が厚く長かった。心筋架橋の近位部LADの動脈硬化度は、架橋開始位置の2.0cm近位で最も強く、非梗塞群では架橋近位の動脈硬化度は架橋部よりも大きいものの大きな変動を示さず、厚く長い心筋架橋は収縮期に血液逆流を起こし、近位の一定部位に高度の内膜病変を形成すると考えられた。 (5)梗塞心における心筋架橋近位LADの病変解析では、2.0-3.0cmの部位に高度な隆起性病変が形成され、不安定プラークは近位2.0-4.5cmの部位に多く観察され、さらに血栓付着は近位1.0-3.0cmの部位に観察された。石灰化病変は非梗塞群よりも多く観認められた。 また、ステント留置症例では、平均2.18cmの部位にステントの中心が存在した。
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Research Products
(3 results)