2011 Fiscal Year Annual Research Report
心筋梗塞の危険因子となる心筋架橋の特定と冠状動脈責任病変の病理組織学的解析
Project/Area Number |
21590388
|
Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
石川 由起雄 東邦大学, 医学部, 准教授 (30276894)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤坂 喜清 東邦大学, 医学部, 准教授 (60202511)
|
Keywords | 心筋架橋 / 心筋梗塞 / 冠状動脈 / 血行力学 / 粥状動脈硬化症 |
Research Abstract |
平成23年度は本研究期間の最終年度であったが、LAD領域に梗塞を有する剖検例は、最終的に161例の蒐集に留まった。したがって、150例を境にデータを解析し論文提出とした。 剖検梗塞心150例のうち、LAD走行途中に心筋架橋のあったもの[MB(+)]が67例、無いもの[MB(-)]が83例であった。MB(+)群は平均年齢76歳、MB(-)群は70歳であり、MB(+)群は有意に若かった。両群の性比に差異はなく、高脂血症・高血圧の有無についても差異を認めなかった。MB(+)群における心筋架橋の解剖学的特性は、厚さ0.81mm、長さ19mm、開始位置は入口より4.8cmであり、これらのうち厚さ・長さは、非梗塞心におけるそれより有意に大きかった。蒐集した150例のうち、LADに対しステント挿入又はバイパス術を施行した51例を除いた99例について、内膜病変の特徴を検討した。急性心筋梗塞群では、内膜石灰化病変はMB(+)群に有意に少なく、病変亀裂はMB(+)群に有意に多く観察された。隆起性病変の肩部の泡沫細胞集簇巣や病変内出血の頻度には有意差を認めなかった。また、陳旧性心筋梗塞群では、不安定プラーク関連病変の発生率に差異を認めなかった。 MB(+)群における不安定プラーク関連病変の分布位置を、心筋架橋の入口から近位部に向かう距離で検討すると、最も頻度の高かった位置は、石灰化病変が2.5cm、泡沫細胞集簇巣が5.0cm、病変内出血が4.0cm、病変亀裂が3.5cm、血栓付着が2.0cmであった。 以上の結果から、厚く長い心筋架橋は若年期から心筋梗塞の原因となる内膜病変を形成し、その位置は架橋の近位2.0-5.0cmの内膜に生じる傾向があると思われた。心筋架橋の存在は、心収縮期におけるLAD圧迫により近位部内膜に対し内皮細胞障害を助長させ、梗塞の責任病変形成に寄与していると考えられた。
|
Research Products
(2 results)