2009 Fiscal Year Annual Research Report
骨軟部腫瘍におけるATBF1遺伝子解析による悪性度評価の研究
Project/Area Number |
21590389
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
野島 孝之 Kanazawa Medical University, 医学部, 教授 (50142732)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
湊 宏 金沢医科大学, 医学部, 教授 (10293367)
三浦 裕 名古屋市立大学, 医学部, 准教授 (90285198)
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Keywords | 病理診断 / 骨軟部腫瘍 / 遺伝子解析 / 悪性度評価 / ATBF1遺伝子 |
Research Abstract |
ATBF1はDNA結合因子で、分化誘導に必要な遺伝子群を活性化し、細胞周期を停止させるシグナル系を活性化させる機能を有する。ATBF1抗体を用いて、各種の骨軟部腫瘍における細胞内局在を解析した。反応性増殖病変の線維芽細胞、筋線維芽細胞は8例全例に細胞質に強い発現を認めたが、核は陰性であった。良性腫瘍では18例中16例が細胞質に、9例が核に陽性を示した。一方、悪性腫瘍では34例中31例が細胞質に、7例が核に陽性を示した。さらに臨床病理学的に生物学的増殖能、悪性度を加味して検討すると、狭義の良性腫瘍は8例中6例が細胞質に、5例が核に陽性を、境界・中間型腫瘍では10例中10例が細胞質に、4例が核に陽性を示した。一方、低悪性度腫瘍は8例中8例が細胞質に、5例が核に、中悪性度腫瘍では4例中1例が細胞質に、1例が核に、高悪性度腫瘍では22例中22例が細胞質に、1例が核に陽性を示した。これらの結果は核タンパク質であるATBF1が、良性腫瘍から低悪性度腫瘍に高頻度の発現を示し、ATBF1の本来有しているがん抑制遺伝子としての働きを示しているものと思われた。平滑筋腫瘍では、良性腫瘍では3例中2例、低悪性度の平滑筋肉腫では3例中2例に核の陽性を認めたが、高悪性度平滑筋肉腫では7例中全例陰性であった。横紋筋性腫瘍では良性の横紋筋腫は核に陽性を示すが、横紋筋肉腫は3例とも陰性であった。今後、ATBF1の発現パターンにおける悪性度評価法を確立することにより、患者の治療法の選択、予後を客観的に比較することが期待できると思われる。
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Research Products
(4 results)