2010 Fiscal Year Annual Research Report
AFP産生胃癌におけるエピジェネティックな遺伝子制御
Project/Area Number |
21590395
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
岸本 充 千葉大学, 大学院・医学研究院, 准教授 (90323401)
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Keywords | AFP産生胃癌 / ヒストン脱アセチル化阻害 / DNAメチル化 / GATA-4 / エピジェネティック |
Research Abstract |
AFP産生胃癌は予後不良な高度悪性variantである。腺癌の形質とともに肝細胞形質を発現することが知られているが、その分子制御は不明である。本研究は、AFP産生胃癌においてエピジェネティックな遺伝子制御の腫瘍形質発現への関与を検討することを目的としている。 平成21年度では、ヒストン脱アセチル化阻害によるAFP産生胃癌細胞における種々の分子の発現変化、および薬剤感受性の変化を検討する計画にもとづき実験を行った。これまでに、AFP,ALB,transferrin,GPD,transtbyretin,CYP3A1,G6PTなどの肝細胞関連分子、Cdx1,CEA,MUC2,MUC5Aなどの腺上皮関連分子、C/EBP-β,GATA-4などの分化関連転写因子、MRP1,MRP2 MRP3,MRP6などの薬剤耐性分子の発現変化を、AFP産生胃癌株3株をもちいてRT-PCRにて検討した。ヒストン脱アセチル化阻害後にCEAの発現増加が2/3株で、MRP-6の発現減少が2/3株で認められたが、quantitative RT-PCRで確認した結果、有意とは言えない可能性がある。 GATA-4は胃粘膜分化に関与する転写因子であるが、AFP産生胃癌組織の免疫染色ではGATA-4の発現は認められなかった。AFP産生胃癌細胞株では3株中2株で発現が見られなかった。3株いずれもGATA-4 DNAのメチル化は見られなかった。ヒストンア脱セチル化阻害により、GATA-4発現の見られなかった2株でGATA-4の発現が誘導された。一方、通常胃癌細胞株では、GATA-4 DNAがメチル化された細胞株ではGATA-4の発現はなく、メチル化されていない細胞株ではGATA-4の発現が見られた。この非メチル化株は、AFP産生胃癌細胞と異なり、ヒストンア脱セチル化阻害を行ってもGATA-4の発現は誘導されなかった。ChIPアッセイで、GATA-4転写制御領域のヒストンH3,R4のアセチル化状態とGATA-4の発現とが一致して認められた。これまでの結果から、AFP産生胃癌細胞では通常胃癌とことなりヒストンアセチル化がGATA-4発現抑制に関与する可能性が考えられる。 ヒストン脱アセチル化によるシスプラチン感受性変化を検討したが、有意な変化は確認できなかった。
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