2010 Fiscal Year Annual Research Report
マクロファージと好中球におけるPentraxin3の発現制御機構と病態解析
Project/Area Number |
21590397
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
内藤 眞 新潟大学, 医歯学系, 教授 (30045786)
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Keywords | 炎症性腸疾患 / 潰瘍性大腸炎 / マクロファージ / 好中球 / 特殊顆粒 / PTX3 |
Research Abstract |
Pentraxin 3(以下PTX3)は臨床で汎用されている急性期蛋白のCRPとともにpentraxin familyに属する分子であり、マクロファージなど種々の細胞から産生され、炎症や免疫における役割が想定されている。昨年度は潰瘍性大腸炎におけるPTX3発現細胞が主に好中球であることを見出した。本年度な好中球とマクロファージにおけるPTX3の局在と分泌について検討を行った。 健常人末梢血から好中球、単球を分離した。GM-CSFやM-CSFを加えて単球を培養し、マクロファージに分化させた。また」IL-8やLPSを加えて培養し、抗PTX3抗体および抗lactoferrin抗体で免疫染色し、ヘキストで核染を行い共焦点レーザー顕微鏡で観察した。培養液中のPTX3濃度はELISAを用いて測定した。 共焦点レーザー顕微鏡の観察では単球はPTX3陰性であったが、マクロファージに分化すると蛍光染色で細胞質にびまん性ないし細顆粒状にPTX3が観察された。好中球ではPTX3陽性像が細胞質に顆粒状に見られ、lactoferrinと局在が合致したことより、PTX3は特殊顆粒に存在することが示された。Il-8を添加して好中球を培養すると好中球の変性と細胞死が認められ、不規則な網状形態構造を示すヘキスト陽性像がみられた。この構造に付着してPTX3陽性顆粒が観察され、lactoferrinの局在とほぼ一致した。ELISAを用いて好中球培養液中のPTX3を測定すると、IL-8添加群では非添加群の4倍の濃度を示した。マクロファージにLPSを添加すると培養液中のPTX3は増加した。 以上、マクロファージと好中球におけるPTX3の局在とそれら細胞からの分泌機構を検討した。種々の刺激によって好中球から放出されるクロマチンやDNAからなる網状構造物はneutrophil extracellular traps (NETs)と称されるが、本研究では好中球の特殊顆粒に存在するPTX3がNETsに結合することを明らかにした。
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Research Products
(2 results)