2011 Fiscal Year Annual Research Report
マクロファージと好中球におけるPentraxin 3の発現制御機構と病態解析
Project/Area Number |
21590397
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
内藤 眞 新潟大学, 医歯学系, 教授 (30045786)
|
Keywords | 炎症性腸疾患 / 潰瘍性大腸炎 / マクロファージ / 好中球 / 特殊顆粒 / PTX3 / NETs |
Research Abstract |
Pentraxin 3(以下PTX3)は臨床で汎用されている急性期蛋白のCRPとともにPentraxin familyに属する分子であり、マクロファージなど種々の細胞から産生され、炎症や免疫における役割が想定されている。初年度は潰瘍性大腸炎におけるPTX3発現細胞が主に好中球であることを見出した。昨年度は好中球とマクロファージにおけるPTX3の局在と分泌について検討を行い、本年度はさらにその詳細を検討した。 共焦点レーザー顕微鏡では健常人の好中球の細胞質内にPTX3陽性像が顆粒状に観察され、好中球内の特殊顆粒にあるLactoferrinと局在が合致したことより、PTX3は特殊顆粒に存在することが示された。走査電子顕微鏡ではIL-8で刺激した好中球の崩壊と不規則な網状形態構造がみられ、好中球から放出されるこの網状構造物はNeutrophil Extracellular Traps (NETs)と称される。NETsは形態学的に核膜の破壊、クロマチンの膨化とDNAの網状構造の放出を特徴とし、アポトーシスやネクローシスとは異なる形態を示した。また、NETsは炎症刺激を受けた好中球が細胞死を伴いつつ細胞内容物によって形成される網状構造物であり、自らのDNA鎖が網状の骨格となり、そこにヒストンタンパク、アズール顆粒や特殊顆粒PTX3陽性顆粒が付着した。単球はPTX3陰性であったが、マクロファージにLPSを添加すると細胞質にびまん性ないし細顆粒状に陽性像が観察された。 ウエスタンブロットでは、PTX3が好中球とマクロファージの培養液及びcell lysateのいずれでも検出された。両細胞ともcell lysateよりも培養液の方がPTX3の発現が強く、PTX3タンパクの多くが細胞外へ分泌されていることが示唆された。好中球とマクロファージは活性化するとPTX3の産生、分泌が亢進した。 以上、本研究では好中球はPTX3タンパクを保有し、刺激によって細胞外に放出すること、マクロファージは炎症性シグナルによって細胞内でこの分子を産生し、速やかに放出することを示した。
|
Research Products
(4 results)