2010 Fiscal Year Annual Research Report
低酸素ストレス応答性分子シャペロンによる免疫応答制御
Project/Area Number |
21590400
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
田村 保明 札幌医科大学, 医学部, 講師 (80322329)
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Keywords | 低酸素 / ストレス蛋白質 / ORP150 / S-S結合 |
Research Abstract |
本研究では、固形癌に共通して存在する低酸素環境における、宿主免疫細胞による抗腫瘍免疫応答の解析を行っている。本年度においては、ヒト大腸癌細胞株における低酸素誘導性分子シャペロンの発現変化とこれに伴う癌細胞におけるジスルフィド結合を有する免疫関連分子、特にMHC class I分子の発現変化・酸化還元状態について検討を行った。Human endoplasmic reticulum oxidoreductin 1-Lα(hERO1-1α)は低酸素で発現増強する分子シャペロンで、ジスルフィド結合形成能を有している。我々は、癌化に伴ってこのhERO1-Lαの発現が増強することを明らかにしてきた。そこで、ヒト大腸癌細胞株SW480にhERO1-Lαを過剰発現させて、その免疫原性への影響を検討した。hERO1-Lα過剰発現SW480は、野生株に比較してMHC class I分子の発現が約2倍に増加した。細胞内でのMHC class I分子の酸化・還元状態をwestern blottingを用いて検討した。その結果hERO1-Lα過剰発現SW480は、野生株に比較して酸化型すなわちジスルフィド結合を有するMHC class I分子の発現が増大していた。一方野生株のSW480では、酸化型と還元型はほぼ同程度の発現を示した。この事実は、hERO1-Lαにより酸化型MHC class I分子が増大し、より安定性を獲得するため細胞表面上での発現も増大することが考えられた。さらにhERO1-Lαは小胞体内において、MHC class Iに抗原ペプチドをloadingするpeptide loading compartment (PLC)に関わる多くの分子と分子会合をとっていることが示された。このようにhERO1-LαはMHC class I分子の発現制御に重要な役割を果たしている。
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