2010 Fiscal Year Annual Research Report
ゲノム不安定化を指標とした抗癌剤耐性評価法の開発と応用
Project/Area Number |
21590402
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
幅野 渉 岩手医科大学, 薬学部, 准教授 (50332979)
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Keywords | 癌 / ゲノム不安定化 / 薬剤感受性 / エピジェネティクス |
Research Abstract |
癌細胞が抗癌剤に対する耐性を獲得する過程では、薬物代謝酵素やトランスポーターの機能変化が重要な役割を果たす。腸管代謝においてはCYP3A4が重要な薬物代謝酵素であり、個体間および病態によって発現量や機能が変動することがわかっている。我々はこれまでに6種の大腸癌培養細胞を用いて、1) CYP3A4の発現量が細胞間で差があること、2) DNAメチル化阻害剤5-aza-2'deoxycytidineを処理すると、発現量の低い細胞においてのみCYP3A4発現量が上昇すること、を明らかにしてきた。CYP3A4遺伝子のプロモーター領域には、メチル化の標的となるCpG islandが検出されないことから、我々はCYP3A4遺伝子め転写活性化因子である核内受容体Pregnane X receptor(PXR)に着目した。6種の大腸癌細胞を用いた同様の検討では、PXR遺伝子のプロモーター領域におけるメチル化レベルと、PXRおよびCYP3A4のmRNA発現量との間に逆相関が認められた。大腸癌組織では、PXR遺伝子の低メチル化が検出されたことから、癌進展にともなうPXRおよびCYP3A4の発現レベルの亢進が推測された。以上より、腸管における薬物代謝の変動要因として、PXR遺伝子のメチル化によるCYP3A4等の発現制御の可能性が考えられた。この結果は、大腸癌における抗癌剤感受性の指標として、PXR遺伝子メチル化が有用である可能性を示唆した。この研究成果は、第25回日本薬物動態学会およびBMC Cancerにて発表を行った(研究発表参照)。
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