2011 Fiscal Year Annual Research Report
膵腫瘍の癌化および浸潤様式:分子標的治療へのアプローチをめざして
Project/Area Number |
21590403
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
清水 道生 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (60226256)
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Keywords | 膵癌 / ランゲルハンス島 / 免疫組織化学 / 浸潤様式 / 扁平上皮 / p63 / CD44 |
Research Abstract |
前年度,膵癌が正常膵組織に浸潤していった場合,ランゲルハンス島(以下,ラ氏島)の残存率が最も高かったことから,特にラ氏島に着目して検討を行った.CK19,trypsin,chromogranin Aの免疫三重染色による検討では,desmoplasticな間質でのラ氏島以外に,腺癌部の異型腺管にentrapされる形で孤在性,連続性,もしくは集籏性にラ氏島が認められた.このentrapされたラ氏島は主として癌細胞の基底側に位置していた.また,詳細に観察するとこれらのラ氏島細胞には異型性はみられず,HE染色でも認識可能であった.逆にラ氏島内に癌の腺管がentrapされていると思われる症例も存在した.検索した範囲では膵癌細胞自体がendocrine differentiationを示したと考えられる症例は認められなかった.免疫組織化学的に,一見endocrine differntiationを示すような症例であっても,膵癌症例においてはまずラ氏島のentrapmentと考えるべきであると思われた. 次に扁平上皮への分化について検討したが,当院症例では腺扁平上皮癌の頻度が高く,全体の12%(文献的には3.4%)にみられた.これらの症例では少なくとも30%以上が扁平上皮癌成分であり,定義上問題のない症例であった.また,免疫組織化学的にp63,CD44,CK5/6が扁平上皮への分化を示す部分で陽性であった.なお,CD5/6に関しては腺癌成分でも陽性を示すものの,その染色性は扁平上皮癌部に比べ弱い傾向がみられた. 上皮・間葉系変移に関しては明瞭な結果は得られなかった.今後は浸潤様式を分析する上で,3次元的な解析が必要となると思われる.
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