2009 Fiscal Year Annual Research Report
治療の個別化を視野にいれた、卵巣腫瘍における低酸素関連因子の解析
Project/Area Number |
21590404
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
安田 政実 Saitama Medical University, 医学部, 教授 (50242508)
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Keywords | 医歯薬学 / 基礎医学 / 人体病理学 / 分子病理 |
Research Abstract |
本年度は様々な卵巣腫瘍における低酸素関連因子の発現を免疫組織化学、Western blotting、Real time RT-PCR法、DNA binding assayにより解析した。その結果、他の組織型に比して卵巣明細胞腺癌においてHIF-1αが高発現しており、とりわけ核に有意な発現を認めた。さらにHIF-1α mRNAの発現も高く、DNA binding assayの結果からも本組織型においてHIF-1の転写活性が高いことが判明した。これらの結果から、明細胞腺癌は他の組織型に比較してHIF-1αが特徴的に発現してHIF-1の転写活性も高く、HIF-1αは低酸素環境のみならず、他のシグナルの影響を受けている可能性が示唆された。また、本組織型が他の腺癌の組織型に比して予後不良であることは、HIF-1αの高発現が下流因子を効率的に発現させ薬剤抵抗性を獲得していることに関連しているものと推察された。次年度においては、近年、HIF-1αの翻訳の制御に関わるとの報告があるPI3K-Akt-mTORシグナル伝達系がHIF-1αに与える影響、さらには様々な卵巣明細胞腺癌株を用いたmTOR-HIF-1のシグナル阻害薬を用いた細胞増殖抑制への影響についても詳細に検討し、卵巣癌をターゲットとした分子標的治療薬の開発を視野に置いて解析を進めていきたいと考えている。また、in vitroでの成果が得られた場合は、速やかにin vivoによる検討を行い現行の治療薬との併用療法も検討する予定である。
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Research Products
(5 results)