2010 Fiscal Year Annual Research Report
潰瘍性大腸炎特異的新規遺伝子CITED2の腸炎発症・発癌機序に果たす役割
Project/Area Number |
21590405
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
吉田 功 北里大学, 医学部, 講師 (90316943)
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Keywords | 潰瘍性大腸炎 / CITED2 / 炎症 |
Research Abstract |
我々はこれまでに潰瘍性大腸炎(UC)の炎症発症機序を解明するため、UC炎症に関連することを報告したFusobacterium vairumが産生する酪酸をUC関連癌細胞株に投与し、cDNAマイクロアレイによる網羅的解析により、特異的発現上昇を示すCITED2を同定した。UC炎症発症におけるCITED2の役割を解明するのが本研究課題の目的である。本研究により、腸内細菌叢変化による局所の高濃度酪酸が腸上皮に対してCITED2を介したアポトーシスを誘導し、びらん・潰瘍をきたすと病態機序を明らかにすると共に、酪酸-CITED2による炎症誘導系の特異的阻害系を見出すことにより、UCへの創薬シーズに寄与すると共に、長期罹患UCからの発癌リスクも低下させることが期待できる。 CITED2の同定・検証過程から、腸上皮に対するアポトーシス誘導と上皮性炎症サイトカイン誘導という炎症誘導に対する二相性の役割を果たしていると考えられるCITED2について、本年度は、病理検体を用いた免疫組織化学的検索を行った。その結果、UCの活動性指標であるMatts' scoreと潰瘍性大腸炎陰窩上皮におけるCITED2発現が相関することを確認した。また、別途行ったUC患者大腸粘膜組織と健常人大腸粘膜を対象としたマイクロアレイ解析によって、olfactmedin 4(OLFM4)の発現がUC患者において優位に発現上昇することを見出し、リアルタイムRT-PCRにて確認した。UCにおけるOLFM4発現上昇もMatts' scoreと正相関することを見出した。クローン病や感染性腸炎ではOLFM4発現上昇は認められず、UC特異的現象として興味深く、次年度でも解析を継続する。
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