2011 Fiscal Year Annual Research Report
ヘッジホッグシグナル制御因子から見た膵臓癌前癌病変の分子病理
Project/Area Number |
21590408
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
笠井 謙次 愛知医科大学, 医学部, 准教授 (70242857)
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Keywords | ヘッジホッグ / 膵臓癌 / 前癌病変 / SIX3 / SIL |
Research Abstract |
1、SIX3の機能について:昨年度までの研究から、SIX3は正常膵管上皮に陽性であるが、多くの膵臓癌前癌病変PanINおよび癌では陰性であること、またSIX3共役転写抑制因子TLE1およびHDAC1は共に陽性であることを見出した。またSIX3発現・Shh非発現のヒト膵臓癌細胞株においてSIX3またはTLE1をノックダウンするとShh発現上昇が見られた。このことから膵臓癌におけるShh発現上昇は、SIX3発現減弱を介したShh発現活性化によると予想した。しかしSIX3非発現・Shh発現のヒト膵臓癌細胞株から作成したtetracycline誘導性SIX3発現株ではSIX3発現誘導によりShh発現はむしろ増強した。以上よりヒト膵臓癌細胞株ではTLE1・HDAC1発現に関わらずSIX3に対する応答性が異なる二群、則ちSIX3非発現群(major group)とSIX3発現群(minor group)に区別できる可能性を考えた。このため、まずSIX3発現・Shh非発現ヒト膵臓癌細胞株においてSIX3依存性に発現する遺伝子群をcDNA microarrayにて網羅的に解析してその特徴を検討するとともに、SIX3陽性膵臓癌症例を見出しその臨床病理学的特徴を抽出すべく、症例を増やして免疫染色を行っている。 2、SIL/STILの機能について:昨年度までの研究から、SIL/STILはlow-grade PanINから染色性を増し癌では強陽性になることを見出している。また正常膵管上皮でSIL/STILは陰性~弱陽性であるが、その陽性部位は概ね基底膜に沿った細胞底面であることを見出した。このことから、SIL/STILは細胞が基底膜と接する細胞領域において何らかの役割を担っている可能性を考え、培養細胞の免疫染色を行っている。
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