2010 Fiscal Year Annual Research Report
アレルギー性腸疾患の制圧に向けた免疫寛容機構の解明:制御分子とその産生細胞の同定
Project/Area Number |
21590409
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
鳥井 郁子 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (70207661)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻村 亨 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (20227408)
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Keywords | アレルギー性腸疾患 / リポ多糖 / 制御性T細胞 / サイトカイン / 粘膜免疫 |
Research Abstract |
アレルギー性腸疾患の制圧に向けモデルマウスの作製を試みた。抗原(卵白アルブミン)に低濃度のリポ多糖類(LPS)を併用することによりアレルギーモデルを、高濃度のLPSを併用することにより寛容モデルを作製することが出来た。これらのモデルマウスの脾臓よりヘルパーT細胞を単離し、サイトカイン産生能を比較したところ、アレルギーモデルではTh2タイプサイトカイン(IL-4)の産生が確認できた。これに対し免疫寛容モデルでは、Th1タイプ(IFN-γ)、Th2タイプ(IL-4)のサイトカイン産生は認められず、制御性サイトカインのひとつであるIL-10の産生のみが認められた。このことから、免疫寛容モデルでは制御性T細胞に相当するヘルパーT細胞が誘導されている可能性が示唆された。また、卵白アルブミンに対するT細胞受容体を導入した遺伝子改変マウスを用い、免疫寛容モデル、アレルギーモデルの脾臓由来ヘルパーT細胞の機能を調べたところ、免疫寛容モデル由来T細胞は遺伝子改変マウス由来T細胞の抗原特異的増殖反応を著明に抑制するが、アレルギーモデル由来T細胞では抑制機能が認められなかった。以上の結果から、免疫寛容モデル由来T細胞は、卵白アルブミン特異的免疫反応を制御・抑制する機能を有することが示唆された。同時に食物アレルギー反応に代表されるアレルギー性腸疾患の制御にLPSが重要な役割を演じることが示唆され、アレルギー性腸疾患の発症と制御の過程を解明する上で我々の作成したモデルが意義深いものであることが明らかとなった。
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