2010 Fiscal Year Annual Research Report
転写因子ELF2の機能解析と予後因子としての有用性の検討
Project/Area Number |
21590412
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Research Institution | Research Institute, Osaka Medical Center for Cancer and Cardiovascular Disaeses |
Principal Investigator |
冨田 裕彦 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立成人病センター(研究所), 病理・細胞診断科, 主任部長 (60263266)
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Keywords | 転写因子 / 機能解析 / 予後因子 |
Research Abstract |
研究者はこれまでValosin-containing protein(VCP)を介した抗アポトーシスと癌の転移との関連についての検討を行い、その転写制御因子としてE74-like factor 2(ELF2)を同定した。ヒトゲノム上でVCRプロモーター部位におけるELF2結合部位を検索したところ-270と-671の2つの部位に存在することを確認し、ELF2がこの両部位と結合することをChromatin Immunoprecipitation Assayを用いて確認した。VCPプロモーター部位を含んだプラスミドを用いたルシフェラーゼアッセイにより検討したところ、-270への変異導入のみでは活性の低下は確認されず、-671への変異導入によりル活性低下が生じることにより、これら2者のうち、-671がより重要であることを明らかにした。この検討結果は、ELF2がVCPの重要な転写因子であることを示唆した。ELF2の機能解析をさらに進めるために、ヒト膵がん細胞株Panc1に対して、ELF2に対するsiRNAを用いた遺伝子発現抑制を導入し、発現の変化する遺伝子を検討した。TNFSF18、CXCL5、CTGF、NFIB等の遺伝子の発現低下が観察された。この発現の変化がELF2の転写活性に関与するものであることを確認し、またそれらの遺伝子発現ががん進展と関連する因子かどうかについて検討中である。臨床検体として肺癌手術標本を用いて免疫染色により検討したところ、ELF2発現とVCP発現との間に正の相関が認められ、ELF2、VCP発現ともに、肺癌の予後因子であることが確認された。さらに、ELF2発現が肺癌におけるリンパ管浸潤の有無、リンパ節転移の有無、病期と相関することを確認した。
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Research Products
(4 results)