2011 Fiscal Year Annual Research Report
肝分化・肝再生におけるdickkopf3の作用機序の解明
Project/Area Number |
21590414
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
加野 准子 筑波大学, 医学医療系, 講師 (60334059)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野口 雅之 筑波大学, 医学医療系, 教授 (00198582)
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Keywords | 肝臓 / 細胞 / がん関連遺伝子 / 発生 / 分化 |
Research Abstract |
Dickkopf3(Dkk3)は本研究代表者らによって肝分化・肝再生に関わる分子として新規に見出された。本研究ではDkk3の機能を解明することを目的として、Dkk3の受容体やシグナル分子の、またDkk3ノックアウトマウスを用いた肝再生への影響の解析を行った。平成23年度の成果は以下のとおりである。 1.Dkk3抗アポトーシス機序に関するシグナル分子の解析およびDkk3受容体の同定 (1)Dkk3発現ヒト非腫瘍肝細胞株tPH5CH蛋白と分泌Dkk3含有馴化培地もしくはリコミナントヒトDkk3蛋白を用いたCo-IP及びLC-MS/MSの解析により、Dkk3受容体として有力候補を得た。この分子は今後腫瘍細胞特異的なDkk3の抗アポトーシス作用の解明を発展させるための標的分子とすることができると考えられる。 (2)RNAiによるDkk3発現抑制系を用いた解析により、Dkk3発現腫瘍細胞におけるDkk3抑制はアポトーシスを誘導することが明らかになった。この機序として、Catalaseなど抗酸化酵素の発現低下が関与し活性酸素種濃度の増加によって酸化ストレスが上昇することが一因である可能性が示唆された。 2.Dkk3ノックアウトマウスを用いた肝再生における機能解析 (1)四塩化炭素投与肝障害モデルと、先行実験として70%部分肝切除モデルを用いて解析を行なった結果、いずれのモデルでも野生型とホモ型で有意な差は認められなかった。 (2)(1)の結果の原因について、Dkk3蛋白発現解析においてホモ型にも抗Dkk3抗体に反応する蛋白の発現が認められたため、詳細なDkk3蛋白発現を検討した。その結果、ホモ型の遺伝子組み換えは確認されているが、同時にDkk3に近似する蛋白が発現し機能している可能性が明らかになった。このことから本研究で用いたホモ型でDkk3の肝再生における機能を解析するのは困難である、という結論に至った。
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