2010 Fiscal Year Annual Research Report
間質が関与する心臓の興奮伝導異常におけるギャップ結合コミュニケーションの役割
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21590420
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
田中 秀央 京都府立医科大学, 医学研究科, 准教授 (60236619)
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Keywords | 間質 / 心筋 / 梗塞 / ギャップ結合 / 不整脈 |
Research Abstract |
心筋梗塞の発症後、心臓にはリモデリングに伴って筋線維芽細胞が増生する。この間質細胞が、心筋細胞との間にギャップ結合connexin43(以下Cx43)を介して電気的結合し、致死的不整脈につながる興奮伝導異常をもたらす可能性がある。この仮説を検証するために、筋線維芽細胞特異的にCx43を欠損させるコンディショナルノックアウトマウスを作成し、これを用いて心筋梗塞後の興奮伝導異常や致死性不整脈の発生が抑制できるか否かを明らかにすることを目的として、平成22年度には、モデルマウスと新生児ラットの心臓または心筋細胞を用いて以下の結果を得た。 1. 野生型マウスの冠動脈結紮により心筋梗塞を作成し、安定したサイズの梗塞モデルを作成し、梗塞巣の修復過程に関する組織学的解析ならびにテレメーターシステムによる不整脈解析を行った。梗塞作成後2日間には、有意な致死的な不整脈の発生はなかった。 2. コンディショナルノックアウトマウスの梗塞心でも安定した梗塞モデルを作成した。これまでのところ、梗塞作成後2日間には、致死率や致死的不整脈の易発生については野生型との間な有意な差異は見られなかった。さらに例数を重ね有意差を検討する必要がある。 3. ラット新生仔の心筋細胞を35mm培養皿で単層培養し、これをさらに線維芽細胞の単層培養組織との間に多数の小孔を有する培養膜を置き培養したところ、両細胞間にCx43によるギャップ結合の形成と、両細胞間の色素移行が確認され、さらに心筋の興奮伝導速度の有意な低下が確認された。しかし心筋と線維芽細胞間の混合培養に比し、空間的に均一な異種細胞の結合ではリエントリー性の異常な伝導の発生は低いという結果を得た。
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