2011 Fiscal Year Annual Research Report
バイオイメージングを用いた癌細胞由来ADAM28の生体内機能解析
Project/Area Number |
21590421
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
望月 早月 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (80365428)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 保典 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (00115221)
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Keywords | ADAM / 癌転移 / VWF / アポトーシス |
Research Abstract |
ADAM28(a disintegrin and metalloprotehlase 28)がヒト肺癌や乳癌で癌細胞特異的に高発現し、発現レベルが増殖や転移と相関することを我々は報告してきた。また、ヒト肺癌(PC-9)や乳癌細胞株(MDA-MB231)でADAM28が高発現することや酵母two-hybrid systemによりADAM28の新規基質としてVWF(von Willebrand factor)を見出してきた。今回、ADAM28の癌細胞転移への関与を調べるために、ルシフェラーゼとVenus融合タンパク質(ffLuc)を恒常的に発現する肺癌と乳癌細胞株(PC-9^<ffluc>とMDA-MB231^<ffluc>)を作製し、マウスの尾静脈内注入による肺転移モデルと乳房皮下脂肪組織移植による自然転移モデルのバイオイメージング法を用いて検討した。PC-9^<ffluc>細胞の肺転移は、shRNAによるADAM28の発現抑制とADAM28に対する中和抗体処理により有意に抑制された。MDA-MB231^<ffluc>細胞でもshRNAによるADAM28発現抑制で局所での癌細胞の増殖が有意に抑制された。また、ffLucに対するRT-PCRにより各臓器での転移率を検討したところ、mock群(n=10)では肺(50%)、心臓(20%)、肝臓(70%)、腎臓(70%)、脳(20%)で転移陽性なのに対し、shADAM28群(n=10)では肺(10%)、心臓(10%)、肝臓(30%)、腎臓(20%)、脳(0%)と転移の抑制が認められた。PC-9^<ffluc>細胞のマウス尾静脈内注入後におけるマウス血漿中VWFの分解は、mock群に比べてshADAM28群で抑制されていた。PC-9^<ffluc>細胞注入後のマウス肺組織においてはPC-9^<ffluc>細胞は、約90%が肺血管内に存在し、shADAM28群の癌細胞の多くはcleaved caspase-3陽性であり、癌組織でのDNA断片化とcleaved caspase-3のタンパク質発現は、mock群に比較して亢進していた。ADAM28非発現細胞株にVWFを添加すると癌細胞のアポトーシスが誘導され、ADAM28発現癌細胞株では、VWFの分解によりVWF誘導性アポトーシスを回避した。以上のことから、癌細胞に発現するADAM28はVWFを血中で分解し、VWF誘導性アポトーシスの回避により癌細胞転移促進に働く可能性が示唆された。
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