2010 Fiscal Year Annual Research Report
がんにおけるDNA高度メチル化を指標としたバイオマーカーの探索
Project/Area Number |
21590425
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
福重 真一 東北大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (90192723)
|
Keywords | 遺伝子 / 発現制御 / 転写抑制 / メチルCpG結合蛋白 / エピジェネティクス / MeTA / 遺伝子発現マイクロアレイ |
Research Abstract |
本研究では申請者が開発したMeTA(methyl-CpG targeted transcriptional activation、メチルCpG配列を標的とする転写活性化)法と遺伝子発現マイクロアレイの組み合わせによってがん細胞において高度にメチル化したCpGアイランド、およびその制御下にある遺伝子を見つけ出し、がんへの関与や診断・治療のバイオマーカーとしての可能性を検討することを目的とした。本年度は、がん細胞においてDNA高度メチル化により転写抑制された遺伝子を効率よく見出す方法としてMeTA法が有用であるかどうかを検討するため、MeTA法を3種の膵がん細胞株AsPC-1、MIA PaCa-2、PANC-1およびコントロールとして正常膵管上皮細胞株HPDEに適用し、マイクロアレイによるそれぞれの遺伝子発現プロファイルを比較検討した。MeTA法により3種の膵がん細胞株で共通に発現上昇する19遺伝子を同定し、そのうち16遺伝子は従来のDNAメチル化阻害剤を用いる方法では報告されていない新規遺伝子であった。4遺伝子についてプロモーター領域のメチル化状況を解析した結果、21種の膵がん細胞株の90~100%において高度にメチル化され、さらに臨床検体でもがん特異的な高度メチル化が検出された。これらの結果は、DNAメチル化を介して発現抑制される遺伝子を同定するためにMeTA法が極めて有効であり、膵がんのみならず他のがんにも適用できる可能性を示した。膵がんでのメチル化遺伝子をさらに絞り込むため、計12種の膵がん細胞株にMeTA法を適用し、高メチル化候補遺伝子31種と低メチル化候補遺伝子19種を同定した。また、肺がんにおけるメチル化遺伝子を見出すため、肺腺癌細胞株を材料としてMeTA法をおこなった結果、肺腺癌の高メチル化候補遺伝子15種と低メチル化候補遺伝子39種を同定した。
|
Research Products
(5 results)