2011 Fiscal Year Annual Research Report
非アルコール性脂肪性肝炎と原発性胆汁性肝硬変の発症過程における類似性
Project/Area Number |
21590433
|
Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
常山 幸一 富山大学, 大学院・医学薬学研究部(医学), 准教授 (10293341)
|
Keywords | 疾患モデル動物 / NASH / PBC / 酸化ストレス |
Research Abstract |
非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)や原発性胆汁性肝硬変(PBC)はいずれも難治性肝疾患であり、発症機序の解明や根本的治療法の開発が希求されている。我々は従来全く異なる疾患として捉えられてきた両疾患の病理学的共通性を検討している。平成21年度には、NASHモデルマウスに胆管周囲の炎症や、抗核抗体の出現などPBCに類似する病変が出現する事を確認した。平成22年度は独自に開発したPBCモデル動物、3種類を解析し、高齢になってもNASH様病変が出現しないことを確認した。また、自己免疫機序を合併するヒトNASH症例の収集を開始した。研究最終年度の平成23年度には研究の総括として下記の成果を得た。 1.自己免疫機序を合併するヒトNASH症例と通常のNASH症例の臨床病理学的特徴の解明:自己免疫機序を有するNASH症例は平均年齢が60±10歳と通常のNASH症例より10歳ほど高く、80%以上が女性であり、肥満の合併が89%に認められた。以上より、高年齢の肥満女性に自己免疫機序が出現しやすいと考えられた。トランスアミナーゼ値は通常のNASH症例と殆ど差がなかったが、肝生検では門脈域の炎症やinterfacehepatitisがより高度であった。 2.動物モデルでの検討:NASHモデルマウスは、検索した3種のモデルのいずれにおいても、1年齢のメスの約1/3にヒトPBCに類似する門脈域の炎症像や胆管障害像が見られ、血清中にはANAの出現が3割程度に認められた。一方、検索した3種類のPBCモデルマウスにNASH様病変は認められなかった。以上より、ヒトでも動物モデルでも、高年齢の女性肥満患者におけるNASH発症の疾患基盤が自己免疫を誘導している可能性がより示唆された。メカニズムとしてはTNF-α等のサイトカインと、浸潤好中球による酸化ストレスによる胆管障害が示唆された。
|
Research Products
(18 results)