2010 Fiscal Year Annual Research Report
p63による扁平上皮癌細胞の活性化経路を決定するリン酸化プロテオーム解析
Project/Area Number |
21590434
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
加藤 伊陽子 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 准教授 (20333297)
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Keywords | 癌 / シゲナル伝達 / 発現制御 / 遺伝子 |
Research Abstract |
研究の目的 癌抑制タンパク質p53ファミリーの一員であるp63と扁平上皮癌の発症・進行との関連を明らかにするために、p63と相互作用する因子やp63遺伝子の転写誘導因子のタンパク質リン酸化とシグナル伝達経路との関連を解析した。 実施項目 1.由来やステージの異なる扁平上皮癌細胞株において、RNA干渉法によりp63をノックダウンし、細胞のタンパク質リン酸化を総合的に解析(リン酸化プロテオーム解析)した。2.扁平上皮癌のステージによってp63の発現が大きく変化するため、p63遺伝子の発現誘導に関わる因子とそのリン酸化について解析した。 結果 1.細胞質と核分画について解析したところ、p63ノックダウン細胞では核内でのGSK-3βのリン酸化促進が検出され、ウエスタンブロットでも確認された。タンパク質脱リン酸化酵素PP2AがΔNp63αと共沈し、p63ノックダウンによりPP2A活性が低下していたことから、p63⇒PP2A⇒GSK-3βの制御経路が示唆された。2.ΔNp63プロモーターは、Smad2とIKKαによるケラチノサイト特異的なTGF-β経路で活性化されることを明らかにし、この経路が機能する分化型扁平上皮癌細胞でSmad2のリン酸化と核移行が検出された。 意義・重要性 1.p63は転写調節因子として機能するほか、脱リン酸化酵素の調節を介してGSK-3βシグナル伝達に影響することが示唆された。2.p63とTGF-βシグナル伝達が密接に関連することを明らかにした。3.総合して、p63はリン酸化シグナル伝達系と様々な機構で連動して扁平上皮癌の増殖と分化を調節していると考えられる。
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Research Products
(4 results)