2011 Fiscal Year Annual Research Report
GPIアンカー型膜蛋白CD109の個体発生における役割と生体内での生理機能の解明
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21590435
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
村雲 芳樹 名古屋大学, 医学系研究科, 准教授 (40324438)
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Keywords | CD109 / ノックアウトマウス / 表皮ケラチノサイト / 初代培養 / STAT3 / TGFβ / トランスジェニックマウス / 結合蛋白 |
Research Abstract |
CD109ノックアウトホモマウスと野生型マウスから、表皮ケラチノサイトの初代培養細胞を作成し、それを用いてCD109欠損によるTGFβシグナルへの影響と、その他のシグナル伝達分子への影響を検討した。CD109^<-/->CD109^<+/+>との細胞におけるSmad2,ERK、AKT、STAT3のリン酸化の程度を比較したところ、STAT3のリン酸化がCD109^<-/->の細胞にて大きく亢進しており、その他の蛋白のリン酸化は変化が認められなかった。TGFβ刺激後の各蛋白のリン酸化を経時的に調べたところ、STAT3を含むいずれの蛋白においても、TGFβ刺激後のリン酸化の程度はCD109^<-/->とCD109^<+/+>の細胞の間で差が認められなかった。前年度の研究にて、CD109ノックアウトマウスは表皮が肥厚することが明らかとなったので、マウスの表皮を蛍光免疫染色することによりSTAT3のリン酸化の程度を検討したところ、CD109ノックアウトマウスにて野生型マウスより有意にリン酸化が亢進していることが判明した。このことより、CD109ノックアウトマウスの表皮肥厚にはSTAT3のシグナルが関係している可能性が示唆された。また、CD109トランスジェニックマウスを用いて、血清中の分泌型CD109蛋白の同定とその結合蛋白の同定を行った。血清中のCD1O9蛋白はWestern blottingにて確認できたが、それを免疫沈降した時に共沈してくる結合蛋白は、マススペクトロメトリー解析では同定できなかった。しかし、ヒトCD109過剰発現細胞の上清中の分泌型CD109の免疫沈降により共沈してきた蛋白のマススペクトロメトリー解析により、CD109の結合蛋白の候補が同定され、現在、CD109との結合の詳細な解析を行っているところである。CD109トランスジェニックマウスの表現型については、今までの所、野生型マウスとの差は認められていない。
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