2009 Fiscal Year Annual Research Report
sRANKLおよびTGFβによる微小骨転移の検出とこれに基づく予防的治療法の確立
Project/Area Number |
21590442
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
二口 充 Nagoya City University, 大学院・医学研究科, 准教授 (60275120)
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Keywords | 乳癌 / 骨転移 / sRANKL / TGFβ / 骨微小環境 / 腫瘍・間質相互作用 |
Research Abstract |
欧米で頻度の高い前立腺癌や乳癌は、原発巣を治療した数年後に、脊椎や骨盤などに骨転移が発生し、患者を死に至らしめる。破骨細胞による溶骨性変化は、骨転移形成の初期段階で腫瘍細胞により誘導される。その直前あるいは直後から予防的治療を開始すれば、強力に骨転移を抑制することが期待できるが、臨床上微小骨転移を検出することは困難である。我々は、乳癌と前立腺癌において、溶骨性変化を起こす可溶型Receptor activator of NF-kB ligand (sRANKL)の生成機構に基づいて、sRANKL阻害剤の予防効果を検討した。投与期間:対照群を含めた4群にわけ、1群あたりの動物数は6匹として実験を行った。1)後投与群:移植後3週間で屠殺するが、第7日(d7)、第14日(d14)、第21日(Day21)のそれぞれ1回sRANKL阻害剤または、TGFβ signal阻害剤を投与した。2)前投与群:移植前3週間の間の、移植前第3週(wk-3)、移植前第2週(wk-2)、移植前第1週(wk-1)のそれぞれ1回、合計3回阻害剤を投与した。3)全投与群:前投与+後投与の合計6回、阻害剤を投与した。4)対照群:全投与群と同じ投与スケジュールでvehicleを投与した。その結果、1)後投与群、2)前投与群、3)全投与群のいずれも、対照群に比べて溶骨性変化が有意に減少していた。また破骨細胞の誘導も有意に減少していた。さらに、骨微小環境における腫瘍細胞の増殖も有意に抑制されていた。この結果から、sRANAKLには予防的効果があることが判明した。
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