2010 Fiscal Year Annual Research Report
sRANKLおよびTGFβによる微小骨転移の検出とこれに基づく予防的治療法の確立
Project/Area Number |
21590442
|
Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
二口 充 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 准教授 (60275120)
|
Keywords | 乳癌 / 骨転移 / sRANKL / TGFβ / 骨微小環境 / 腫瘍・間質相互作用 |
Research Abstract |
本研究では、sRANKLの治療標的分子としての有用性を検討する目的で、ヒトsRANKL抗体(OCIF)の骨微小環境における乳癌細胞の増殖に対する治療および予防的効果について検討した。 1.0×106個のマウス乳癌細胞(CL66M2)をマウス頭蓋骨の直上(骨微小環境)および皮下(皮下微小環境)に移植し、OCIFを合計3回、3.0mg/kg体重の濃度で皮下投与した。その結果、OCIFは腫瘍の細胞増殖率を皮下微小環境では抑制しなかったが骨微小環境では有意に抑制した。次に、OCIFを腫瘍の移植前投与群(前投与)、移植後投与群(後投与)および移植の前後に投与した群(全投与)を比較検討した結果、骨微小環境に誘導された破骨細胞の数および骨破壊の程度は、前投与、後投与、全投与のいずれの群でも有意に抑制され、腫瘍の細胞増殖率も同様に抑制されていた。 TGF-beta, RANKLおよびOPGの組織中の濃度を測定すると、どのOCIF投与群でもOPGの濃度が上昇していた。このOCIFの予防的効果は濃度依存性があり、骨微小環境におけるOPGの濃度と相関していた。さらに、マウス乳癌細胞の増殖率の影響をin vitroで検討した結果、OCIF処置では細胞増殖率は抑制されなかったが、OPG処置により細胞増殖は有意に抑制された。 以上の結果から、sRANKLを標的としたOCIFは、溶骨性変化のみならず骨微小環境における乳癌細胞の増殖も抑制することが明らかとなった。さらに予防的な効果も示し、そのメカニズムにはOPGの上昇が関与することが判明した。
|