2011 Fiscal Year Annual Research Report
sRANKLおよびTGFβによる微小骨転移の検出とこれに基づく予防的治療法の確立
Project/Area Number |
21590442
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
二口 充 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 准教授 (60275120)
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Keywords | 乳癌 / 骨転移 / sRANKL / TGFβ / 腫瘍間質相互作用 / 骨微小環境 |
Research Abstract |
本研究では、sRANKLを標的とした治療薬の予防効果を検討する目的で、我々の開発した動物モデルを用い、ヒトsRANKL抗体を腫瘍細胞の移植前に投与した群(前投与)、移植後に投与した群(後投与)および移植の前後に投与した群(全投与)とを比較検討した。 その結果、骨微小環境における腫瘍細胞の増殖率は、全投与、後投与と同様に前投与群でも有意に抑制されていた。また骨微小環境に誘導された破骨細胞の数および骨破壊の程度も、前投与、後投与、全投与のいずれの群でも有意に抑制されていた。生理的にsRANKLの拮抗作用をもつosteoprotegrin(OPG)の骨微小環境における濃度をELISAにて測定したところ、対照群に比較して、前投与、後投与および全投与群のいずれも有意に上昇していた。この抑制効果が観察された濃度を1/1とし、その1/2および1/5の濃度での抑制効果を検討したところ、破骨細胞の誘導、骨破壊の程度および、骨微小環境における腫瘍細胞の増殖率は、1/5の低い濃度でも有意に抑制され、濃度依存性の抑制効果が観察された。またこの抑制作用は、OPGの濃度と逆に相関していた。sRANKL抗体およびOPGの乳腺腫瘍の細胞増殖に対する作用をin vitroにて検索した結果、sRANKL抗体は抑制しなかったがOPGは有意に乳腺腫瘍の細胞増殖を抑制した。 これらの結果から、sRANKL抗体は、乳癌の骨転移の予防に有用であると考えられた。また、sRANKL抗体の前投与により、骨微小環境においてOPGが誘導され、腫瘍細胞の増殖が抑制されることが示唆された。
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Research Products
(6 results)