2011 Fiscal Year Annual Research Report
腎尿細管間質線維化を促進または抑制する調節分子機構
Project/Area Number |
21590444
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
村垣 泰光 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (40190904)
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Keywords | 腎尿細管 / TGF-βシグナル / EMT / TRPS1 / 線維化 / Smad3 |
Research Abstract |
毛髪・鼻・指節骨異形成症(TRPS)の原因遺伝子であるTRPS1は主として軟骨で発現するが、その他内臓器においても発現することより、我々は腎臓におけるTRPS1の局在と機能について検索した。以前の研究において我々は成人マウスではTrps1が腎尿細管上皮細胞に局在することを示したことより、Trps1と上皮・間葉転換(EMT)との関係を調べる目的でTrps1の腎尿細管間質線維化における機能を解析した。Trps1欠損ヘテロ(HT)マウスと野生型マウスの腎臓から尿細管上皮を培養して、そのTrps1、α-SMA、E-cadherinの局在を調べた結果、HTマウス腎尿細管上皮ではE-cadherinの発現は半分に減少していた。これらの培養細胞にTGF-βを作用させるとHTではEMTが亢進していた。免疫組織化学およびウエスタンブロットによる解析の結果、HTマウス腎尿細管上皮ではリン酸化Smad3が野生型に比べて高度に亢進し、E-cadherinの発現が低下し、α-SMAの発現が亢進した。またそれに伴ってSmad7が低下し、Samd7の分解酵素であるArkadiaの発現が亢進していた。以上よりHTマウスではArkadiaの発現が亢進することよりSmad7レベルが低下し、リン酸化Smad3が増加してTGF-βシグナルが亢進つまりEMTが亢進することにより腎尿細管間質の線維化が亢進するという分子機構を解明した。
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