2010 Fiscal Year Annual Research Report
ホルモン感受性癌の増殖・進展にかかわるマクロファージの役割
Project/Area Number |
21590450
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Research Institution | National Cancer Center Research Institute and Research Center for Innovative Oncology, National Cancer Center Hospital East |
Principal Investigator |
桑田 健 独立行政法人国立がん研究センター, 臨床開発センター, 研究員 (00327321)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
落合 淳志 独立行政法人国立がん研究センター, 臨床開発センター, 部長 (60183034)
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Keywords | 病理学 / 前立腺癌 / アンドロゲン |
Research Abstract |
前立腺癌の増殖・進展にはアンドロゲン受容体(AR)の活性化が必要である。一方、抗アンドロゲン療法では一定の治療期間後に腫瘍が再増殖する治療抵抗性の獲得が問題となる。この機構の1つに副腎由来アンドロゲン(DHEA)の存在が示唆されているが,DHEAは精巣で産生されるテストステロン(TN)に比べ極めて弱い生理活性しか有さず、AR活性化にはAKR1C3およびHSD3BによりTNへと変換されることが必要である。このことから、前立腺癌細胞ないし前立腺癌組織におけるAKR1C3およびHSD3B発現とこうアンドロゲン療法抵抗性との関連が示唆されてきたが、これまで両酵素の発現による前立腺癌細胞の除睾マウスでの増殖亢進など直接的な証拠は明らかとなっていない。 平成22年度においては、前立腺癌細胞株LNCapを用いアンドロゲン欠乏下でAKR1C3およびHSD3Bが果たす役割を解析した。通常の培養条件においてAKR1の発現はVCapおよびPC3において、HSD3Bの発現はLNCap、MDA-PCa2bにおいてそれぞれ認められた。AKR1C3の発現はアンドロゲン欠乏により誘導されたが、HSD3Bの発現はアンドロゲンによる影響を受けなかった。LNCapにおいてAKR1CによるDHT誘導体であるAdioneはARを活性化することができた。以上より、AKR1C3およびHSD3Bによる副腎由来アンドロゲンからTNへの変換がアンドロゲン療法に対する抵抗性獲得に関与する可能性が示唆された。また、ヒト前立腺癌についての免疫組織学的検討では、坑アンドロゲン療法施行症例において、AKR1C3発現頻度が有意に高かった。一方、HSD3Bについては、未治療群においても弱いながら発現が認められ、抗アンドロゲン療法による発現頻度の亢進は確認されなかった。
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Research Products
(3 results)