2010 Fiscal Year Annual Research Report
シアル化糖鎖を介した癌の免疫抑制メカニズムの解明と利用技術の開発
Project/Area Number |
21590454
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
池原 譲 独立行政法人産業技術総合研究所, 糖鎖医工学研究センター, 研究チーム長 (10311440)
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Keywords | 炎症 / 糖鎖 / がん / 免疫制御 |
Research Abstract |
シアル酸などの各種糖鎖で被覆されたリポソームに、モデル抗原として卵白アルブミン(OVA)をを封入してマウスへ投与し、誘導されてくるOVAに反応するT細胞について解析を進めてきた。マンノースで被覆されたリポソームを用いた場合と比較すると、シアル酸で被覆されたリポソームを用いた場合は、OVAに反応してIL-10,IL-4,TGFβを産生するT細胞が、有意に誘導されることを目立つ事を見いだした。このことは、シアル酸被覆リポソームが、自己免疫等で活性化している免疫の制御・抑制に利用可能であろう事を意味すると考えている。 インビボでの効果検討を行なうため、2種類の潰瘍性大腸炎マウスを用いた検討を実施した。一つは、OT2マウスより回収したCD45RBhighT細胞のSCIDマウスへの導入する事で惹起される潰瘍性大腸炎モデルで、もう一つはデキストラン硫酸の飲水投与で生じる潰瘍性大腸炎モデルである。 OT2マウスより回収したCD45RB high T細胞をSCIDマウスへ導入して生じた腸炎は、OVAの腹腔内投与によってマウスの潰瘍性大腸炎は憎悪するが、デキストラン硫酸の飲水投与モデルは、OVAの腹腔内投与による影響はない。これらのモデルでシアル酸被覆リポソームの投与を行うと、腸炎の活動性が抑制傾向となる事を見いだした。 さらに腸炎における上皮細胞の応答、不死化技術を活用して、マウス腸炎~大腸発がんモデルから一連の細胞株を樹立する方法の開発を進めた。AOMを投与した後にデキストラン硫酸を飲水投与すると、潰瘍性大腸炎を発生母地とした大腸がんを作る事ができる。Creマウスとの交配で、細胞を不死化する遺伝子を発現するようになるトランスジェニックマウスと、大腸上皮でCreを発現するVillin-Creマウスとの交配で作出したマウスにこれらの処置を行い、大腸がん細胞株、不死化大腸上皮細胞株を系統的に作出する事を可能とした。現在、樹立した細胞株の生物学的な特性について、検討を進めているところである。
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Research Products
(5 results)