2011 Fiscal Year Annual Research Report
「血液凝固第7因子産生がん」の概念確立と高凝固性マイクロパーティクルの解析
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21590455
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Research Institution | 地方独立行政法人神奈川県立病院機構 |
Principal Investigator |
宮城 洋平 地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立がんセンター(臨床研究部), 総括部長 (00254194)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小井詰 史朗 地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立がんセンター(臨床研究所), 研究員 (60416063)
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Keywords | 血液凝固 / 第VII / 組織因子 / TF |
Research Abstract |
我々は,肝細胞以外での異所性血液凝固第VII因子(fVII)発現の1パターンとして,がん細胞が陥る,低酸素・低栄養状態でfVIIの発現が誘導:されることを見出している.fVIIには抗アポトーシス作用が知られており,この厳しい細胞環境にがん細胞が適応して生き延びるメカニズムの一つである可能性があり,がん治療の標的分子機構としても注目している. 本研究の初年度,次年度の研究では,低酸素・低栄養状態でのfVII遺伝子発現誘導機構について,低酸素+無血清の培養条件での相乗的発現誘導効果があること,HIF2α-SP1複合体を介するHRE非依存性の機構であること,ヒストン低アセチル化状態に依存すること,を明らかにした.本年度は,更にこの新しい遺伝子発現誘導機構の解析を進めて,通常の遺伝子発現誘導と異なる脱アセチル化を引き起こす分子としてclass II histone deacetylaseのHDAC4がプロモータ領域にrecruitされてくることを見出した.また,この相乗的なfVII遺伝子発現活性化にはmammalian target of rapamycin(mTOR)を介する情報伝達経路が必要であることを明らかにした.これらの結果は,従来の抗がん剤治療とHDAC4 inhibitorやmTOR inhibitorの併用により,抗がん剤によるストレス状態下にあるがん細胞に対してより高い治療効果が得られる可能性を示すものである. 今後は,fVII遺伝子と同様な低酸素+無血清の培養条件での相乗的発現誘導を示す遺伝子群を明らかにして,抗がん剤耐性を示す卵巣明細胞癌の新規治療法の開発につなげたいと考えている.
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Research Products
(3 results)