2010 Fiscal Year Annual Research Report
HERおよびVEGF familyを標的とする消化器癌に対する分子標的治療の研究
Project/Area Number |
21590457
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Research Institution | Aichi Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
中西 速夫 愛知県がんセンター(研究所), 腫瘍病理学部, 室長 (20207830)
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Keywords | ERFR / HER2 / HER3 / VEGF / 胃癌・大腸癌 / Gefitinib |
Research Abstract |
本年度は大腸がんと口腔扁平上皮がんHER familyを標的とする分子標的治療について検討し、以下の点を明らかにした。 1 高転移性低分化型大腸癌細胞株のGefitinib感受性におけるHER3の役割解析 肝転移巣から独自に樹立したEGFR高発現大腸がん細胞株(COLM-5)はGefitinibおよびCetuximabに高感受性であり、COLM-5細胞では他の分化型腺癌細胞株(COLM-1-4)に比べてHER3の発現が著しく低く、Aktのリン酸化も低レベルであることを見出しおり、PI3K/Akt経路の恒常的活性化は薬剤耐性の原因の一つであることはよく知られていることから、HER3低発現によるPI3K/Aktの不活化が高感受性に関与している可能性が示唆された。そこでCOLM-5細胞にHER3を強制発現させたところAktのリン酸化の亢進とGefitinib感受性の低下傾向が見られ、HER3がGefitinib感受性に関与する可能性を示唆した。 2 頭頸部扁平上皮癌(HNSCC)におけるGefitinib感受性ならびに抵抗性機構の解析 HNSCCには頻度は高くないが肉腫様成分を伴う低分化型扁平上皮癌が存在し、浸潤性が強く、治療抵抗性で予後不良であることが知られている。今年度は、舌癌由来の角化型SCC細胞株(UMSCC6)および低分化型SCC細胞株(UMSCC81)を用いてGefitinib感受性ならびに抵抗性を比較検討し、UMSCC81細胞がUMSCC6細胞に比べ、Gefitinib抵抗性であること、vimentin, snailなどのEMT形質を部分的に発現すること、またUMSCC81細胞から分離したGefitinib耐性株がE-cadherin発現を消失した完全なEMTを示し、さらにEGFR発現がdown regulationしていることを明らかにし、EMTとGefitinib耐性がEGFRを介して密接に関連する可能性を示唆した。
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Research Products
(11 results)