2009 Fiscal Year Annual Research Report
トキソプラズマHSP70による樹状細胞ワクチンとIFN-γ・MyD88の役割解析
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21590462
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
青才 文江 Chiba University, 大学院・医学研究院, 准教授 (80150316)
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Keywords | トキソプラズマ / 熱ショック蛋白70(HPS70) / interferon-gamma(IFN-γ) / myeloid differentiation factor 88 (MyD88) / 樹状細胞(DC) / 細胞性防御免疫 / Th1 / Th2 / Th17分化誘導 |
Research Abstract |
トキソプラズマは典型的日和見感染病原体であるが弱毒株の感染によっても必ず死に至るトキソプラズマ特異的免疫不全マウスが2種類存在する。一方はinterferon-gamma (IFN-γ)欠損マウスであり、他方はToll様リセプター(TLR)の細胞内アダプター分子であるmyeloid differentiation factor 88 (MyD88)欠損マウスである。我々は既に急増虫体に特異的に発現されるストレス蛋白HSP70(T.g.HSP70)がMyD88非依存性経路を介して樹状細胞(DC)の成熟化を誘導することを明らかにしてきており、上記の2種類の免疫不全実験モデルマウスを用いることにより、免疫不全宿主の致死性トキソプラズフ症に対するT.g.HSP70パルスex vivo DCワクチンの実用化に向けて以下の解析を進めた。 (1)T.g.HSP70刺激によるDC成熟化におけるIFN-γとMyD88の役割解析 T.g.HSP70刺激により、MyD88欠損マウスのみならずIFN-γ欠損マウスの骨髄由来未熟DCも成熟化することを、DCの形態的生物機能的変化を解析することにより明らかにした。 (2)T.g.HSP70刺激DCのTh1/Th2/Th17誘導におけるIFN-γとMyD88の役割解析 (1)T.g.HSP70刺激DCのIL-12産生解析:野生型(WT)、IFN-γ欠損およびMyD88欠損マウスのT.g.HSP70刺激DCのIL-12産生をreal time PCRを用いて定量解析した結果、IFN-γ欠損マウスのT.g.HSP70刺激DCのIL-12産生はWT以上であるのに対して、MyD88欠損マウスのT.g.HSP70刺激DCではIL-12産生がみられず、MyD88欠損マウスのT.g.HSP70刺激DCでは形態的成熟化はみられるもののT_H1細胞誘導能を欠くことを明らかにした。 (2)T.g.HSP70刺激DCによるT_H分化誘導の解析:同じC57BL/6背景をもつWT、IFN-γ欠損およびMyD88欠損マウスのT.g.HSP70刺激DCによるWT、IFN-γ欠損およびMyD88欠損マウスのnaive CD4^+T細胞のT_H分化誘導を相互解析することにより、syngeneic DC-T細胞間におけるIFN-γとMyD88の機能解析を行った。その結果、i)IFN-γ欠損マウスのDCもWTのnaive CD4^+T細胞からT_H1を誘導できる、ii)T_H1誘導にはDCのみならずT細胞においてもMyD88が必要である、ことを明らかにした。 以上の結果を、第78回日本寄生虫学会および第39回日本免疫学会において発表した。
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