2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21590463
|
Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
呉 志良 岐阜大学, 医学系研究科, 助教 (90313874)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長野 功 岐阜大学, 医学系研究科, 准教授 (40283296)
|
Keywords | タイ肝吸虫 / 胆管癌 / 発癌 / マイクロアレイ / Pdgfa |
Research Abstract |
タイ肝吸虫(Opisthorchis viverrini)の感染は胆管癌の発癌に関連があることが明らかにされたが、その分子メカニズムはいまだ不明である。本研究の目的は発癌の分子メカニズムの解明、早期診断及び遺伝子治療に応用する腫瘍マーカーを同定することである。平成21年度はタイ肝吸虫の発癌モデルを用いて、cDNAマイクロアレイの解析を行って、癌化に関与する候補遺伝子をリストアップした。 平成22年度は、リストアップした候補遺伝子から、発癌に関与する重要なシグナル経路、また胆管癌において報告されていない遺伝子を選んで、感染による発癌モデルにおいて発現動態、癌組織に局在の同定、またタイ肝吸虫流行地由来胆管癌患者において発現及び臨床病理との関連性の検討を行った。その結果、細胞増殖・分化(Pdgfa,Pdgfra,Pdpk1,Tgf,Galectin,Catenin,S100a2,S100a6,S100P)、細胞周期(Lass4)、アポトーシス(Mfge8)、細胞骨格(Tubb2b,Krt8/18,Stmn1)、ヒストン脱メチル化酵素(Rbp2)などの遺伝子の発現は感染による発癌において高くなり、それらの発現動態は発癌の病理過程に一致した。一方、肝臓において解毒を行う酵素(Cyp2a)及び炎症によるNOS代謝に関わる酸化還元(Idb1,Idh2,Hgd)などの遺伝子の発現は低下になったことを示した。さらに、Pdgfa及びPdgfraが肝吸虫流行地由来78例胆管癌患者において検討結果は、67例患者の癌組織においてPdgfaのmRNAレベルが高くなっり(85.9%>3folds)、47例において免疫染色が陽性(60.3%)、陽性反応は上皮癌細胞質に局在していることを示した。また、それら陽性は癌の病理分期、生存率及び転移と相関性があった。ミューテーションの解析した結果はPdgfra遺伝子において、三つのミューテーション(Exon18,824 C>T;Exon13,603 G>A;Exon10,603 G>A)が発見し、患者においてはそれぞれ60%,46%と23%であった。以上の結果はタイ肝吸虫の感染による炎症、物理的及び化学的な損害によって、解毒酵素や酸化還元酵素が低下になり、細胞増殖・分化因子が増加及び活性化になり、癌化に関与することを示唆します。
|