2009 Fiscal Year Annual Research Report
肺炎クラミジアの感染細胞内での生存・増殖様式を決定づける宿主応答と分子基盤の解明
Project/Area Number |
21590474
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山口 博之 Hokkaido University, 大学院・保健科学研究院, 教授 (40221650)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松尾 淳司 北海道大学, 大学院・保健科学研究院, 助教 (50359486)
神谷 茂 杏林大学, 医学部, 教授 (10177587)
中村 眞二 順天堂大学, 医学(系)研究科, 助教 (40207882)
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Keywords | 肺炎クラミジア / Chlamydophila pneumoniae / リンパ球細胞 / 付着 / エフェクター蛋白 / 外膜蛋白 / ストレス蛋白GroEL1 / 持続感染 |
Research Abstract |
肺炎クラミジア(Cp : Chlamydophila pmeumoniae)は呼吸器感染症起因菌であり動脈硬化症との関連性も指摘されている。肺炎クラミジアは上皮細胞、血管内皮細胞、単球/マクロファージ、リンパ球細胞等の多種多様なヒト細胞に感染する。しかしながら宿主細胞内での生存・増殖様式は感染細胞の種類により異なり、上皮系細胞内では良好に発育するものの単球/マクロファージ内では死滅しリンパ球細胞では持続感染に移行し顕著な細胞内増殖を示さない。この違いは肺炎クラミジアが保有する多様な感染機構に起因するものと考えられるが、その詳細は明らかではない。本研究では、肺炎クラミジアのヒトリンパ球細胞内での生存・増殖様式を決定づける宿主応答に関わる分子基盤を明らかにすることを目的として、肺炎クラミジアのリンパ球細胞における付着様式、侵入時の宿主応答、細胞内トラフィッキングそして菌体より分泌されるエフェクター蛋白の結合分子の同定といった4つの側面より、上皮系細胞や単球/マクロファージへの感染様式と比較しながら解析を試みる。本年度は特にリンパ球細胞への付着様式と細胞内でのエフェクター蛋白、ストレス蛋白(GroEL1)ならびに外膜蛋白OmcBの遺伝子発現について検討した。その結果、リンパ球細胞の付着にも上皮細胞同様に細胞外マトリックスヘパリンが関与することを明らかにした。またCpのリンパ球細胞への低感染率は細胞上のヘパリンの低発現に起因することも見いだした。さらにリンパ球細胞内でのCpのエフェクター蛋白、ストレス蛋白(GroEL1)ならびに外膜蛋白OmcBの遺伝子発現が上皮細胞に比べ極めて低いことも突き止めた。これらの結果は、Cpのリンパ球細胞内での持続感染を規定する要因を見いだす上で有益な情報だと考えられる。
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Research Products
(14 results)