2011 Fiscal Year Annual Research Report
肺炎クラミジアの感染細胞内での生存・増殖様式を決定づける宿主応答と分子基盤の解明
Project/Area Number |
21590474
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山口 博之 北海道大学, 大学院・保健科学研究院, 教授 (40221650)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神谷 茂 杏林大学, 医学部, 教授 (10177587)
中村 眞二 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40207882)
|
Keywords | 肺炎クラミジア / Chlamydophila pneumoniae / リンパ球細胞 / IFNγ / 付着 / ヘパリン / グランザイム |
Research Abstract |
ヒト病原性クラミジア(肺炎クラミジアや性器クラミジア)は、ヒトからヒトへと伝播する呼吸器感染症や性感染症の原因菌である。健康人における肺炎クラミジアに特異的な抗体保有率は約60-70%と高く、性器クラミジアの感染率も約10%にも達するので、誰もが感染リスクのある普遍的な感染症である。一方、性器クラミジアは骨盤内感染症や関節炎、肺炎クラミジアは喘息や動脈硬化症といった慢性疾患の発症と深く関わっているが感染による慢性炎症惹起機構は解明されていない。感染に伴い惹起される慢性炎症を起こしている局所ではリンパ球細胞が集積しているので、病原性クラミジア感染局所に遊走してきたリンパ球細胞にもクラミジアが感染し、細胞機能を修飾する可能性がある。そこで我々は、本研究プロジェクトでは病原性クラミジアのリンパ球細胞への感染様式と感染細胞に於ける細胞機能修飾機構について上皮細胞への感染様式と比較検討した。その結果、上皮細胞への付着にはヘパリングルカンが必要であるが、リンパ球細胞へ付着侵入には、この細胞外マトリックスを要求せず、未知の付着機構の存在が示唆された。また変異源物質EMSを用いて病原性クラミジア感染抵抗性リンパ球細胞株の樹立に成功し、グランザイムKの発現異常がこの抵抗性に寄与している可能性について報告した。さらにリンパ球細胞に感染した病原性クラミジアは。生体防御因子IFNγからエスケープできることを発見した(論文投稿準備中)。その分子機構は良くわからないが、リンパ球細胞ではたとえIFNγ存在下でも細胞内トリプトファンプールの枯渇を誘導するIDOの発現誘導おこらないことを既に見いだしている。これらの研究成果は病原性クラミジアが何故リンパ球細胞に感染するのか、その生物学的な意義を考える上で有益な情報を提供するものと思われる。
|
Research Products
(25 results)