2009 Fiscal Year Annual Research Report
多剤耐性化するS maltophiliaの薬剤耐性と病原性の研究
Project/Area Number |
21590477
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
谷本 弘一 Gunma University, 大学院・医学系研究科, 准教授 (40188389)
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Keywords | 遺伝子 / 感染症 / 抗生物質 / 細菌 |
Research Abstract |
平成21年度には以下に挙げる実験を行い、結果を得た。 1.すでに得られていたPFGEの結果を基に解析を行い、臨床分離株間の関連を調べた。その結果、1つの病院由来の分離株であることから、予想されたことではあるが、いくつかのタイプの株が広がっていた。しかしながら院内感染と呼ぶ程度のものではなかった。 2.分子疫学を行うにあたり当初rRNA遺伝子やL1あるいはL2β・ラクタマーゼ遺伝子を用いる予定であったが、ヨーロツパでMLSTの系が確立し公開されたことから、それを用いて実験を開始した。7遺伝子のうち3つの遺伝子については塩基配列を決定したがすべてを決定することができなかったため、外国の株との関係について結論を得るにはいたっていない。平成22年度も実験を継続し、完了させる予定である。 3.PCRとDNA塩基配列の決定によって薬剤耐性遺伝子の同定を用いて行った。その結果、耐性遺伝子はグラム陰性菌によく見られる遺伝子が保持されていることがわかった。 4.耐性遺伝子の伝達実験を行い、接合伝達性プラスミドの検出を試みた。標準株からリファンプシン耐性株を作成し、それを受容菌として寒天平板上で接合伝達を行ったがアミノ配糖体耐性、テトラサイクリン耐性、クロラムフェニコール耐性、キノロン耐性のいずえの耐性も伝達される事はなかった。薬剤耐性プラスミドに関する論文はほとんど見られないことや今回得られた結果から、S.maltophiliaにおいて薬剤耐性プラスミドは耐性の伝達にあまり関与していないことが示唆された。
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