2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21590478
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
清水 健 千葉大学, 大学院・医学研究院, 准教授 (70312840)
|
Keywords | 感染症 / 細菌 / 分泌 / 細菌毒素 / 遺伝子発現 / 腸管出血性大腸菌 |
Research Abstract |
今年度は新規に開発したdhromosome-plasmid hybrid bioluminescent reporter system (C-P reporter system)法を用いて作製した遺伝子発現をモニターするための菌株を使用することによって、腸管出血性大腸菌(EHBC)が腸管上皮細胞に接着した時、またマクロファージ細胞に貪食された時のEHECの主要な病原因子である志賀毒素のin vitroでの発現様式の解析を行った。 この新規に作成した発現モニター用の菌株はモニターしたい病原因子遺伝子の発現量に応じて菌体内からの発光強度が上昇することを確認してある。また、その遺伝子産物の産生が野生株と同様に産生されることも確認してある。したがって、その病原因子の宿主細胞との相互作用によって、菌側の病原因子発現への影響も考慮することができる。 これらのモニター株を用いた結果、EHECの主要な病原因子である志賀毒素1と志賀毒素2は同様に腸管上皮細胞に接着することによって、産生が増加することが明らかになった。そして、各々の毒素の腸管上皮細胞に接着することによる産生様式には違いがあることも明らかになった。また、同一の環境中でも接着していない菌では毒素産生が上昇しないことから、物理的な上皮細胞との接着が毒素産生の促進に重要な働きをしていることが分かった。次に、マクロファージ細胞に貪食された時のEHECの毒素産生について検討を行った。その結果、志賀毒素1と志賀毒素2の産生はそれぞれ増加したが、発現様式には違いがあった。EHECの感染成立にはいろいろな段階が存在するが、その中でも重要なのは腸管上皮細胞への接着であり、またその段階を高頻度で成立するために必要な過程である宿主細胞の防御機構に対する抵抗の段階において、共通して主要な病原因子である志賀毒素1と志賀毒素2の産生が上昇することを明らかにした。 平成23年度はそのことが実際に感染時に生じていることをマウスを用いたin vivo解析で明らかにする。
|
Research Products
(3 results)