2009 Fiscal Year Annual Research Report
赤痢菌と大腸菌が保有する細胞膨化致死毒素遺伝子の水平伝播に関わる遺伝学的解析
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21590487
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
山崎 伸二 Osaka Prefecture University, 生命環境科学研究科, 教授 (70221653)
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Keywords | 大陽菌 / 赤痢菌 / 細胞膨化致死毒素 / バクテリオファージ |
Research Abstract |
大腸菌が産生する細胞膨化致死毒素(CDT)は、少なくとも5種類ある。また、赤痢菌もS. dysent eriae、 S. flexneri、 S. boydii、 S. sonneiでcdt遺伝子を保有することが報告されている。この5種類のCDTを産生する下痢症患者由来あるいは家畜から単離した大腸菌及びcdt遺伝子が陽性の赤痢菌をマイトマイシンC存在下で培養し、プラークアッセイでファージが誘導されるかどうか調べた。その結果、家畜由来の大腸菌ではどの型のCDT産生菌でもプラークは形成されず、下痢症患者由来の大腸菌では、CDT-I産生菌以外ではプラーク形成は見られなかった。プラーク形成が見られたCDT-I産生性大腸菌の特徴は、eae遺伝子陽性で、腸管病原性大腸菌の血清型に属する大腸菌であった。^32Pで標識したcdt遺伝子プローブを用いたプラークハイブリダイゼーションにより、cdtIファージを同定し、大腸菌C600株に溶原化させた。 一方、バングラデシュの下痢症患者から分離されたCDT産生性大腸菌でcdtIとcdtIVのキメラ遺伝子で構成されていることを見いだした。即ち、cdtA遺伝子はcdtI遺伝子と相同性が高く、cdtBとcdtC遺伝子は、cdtIV遺伝子と相同性が高がった。cdtA遺伝子の上流はCDT-Iファージと相同性が高く、cdtC遺伝子の下流は、cdtIV遺伝子の下流と相同性が高く、cdt遺伝子の上流・下流を含めcdtIファージとcdtIVファージの相同組み換えによって作製されたキメラ毒素である可能性を示した。以上の結果は、cdt遺伝子が過去においてファージやプラスミドを介して菌株間を移動していた可能性、また、相同組み換えによって新たなバリアントが出現してきている可能性を示した。
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Research Products
(5 results)