2010 Fiscal Year Annual Research Report
赤痢菌と大腸菌が保有する細胞膨化致死毒素遺伝子の水平伝播に関わる遺伝学的解析
Project/Area Number |
21590487
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
山崎 伸二 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 教授 (70221653)
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Keywords | 大腸菌 / 赤痢菌 / 細胞膨化致死毒素 / バクテリオファージ |
Research Abstract |
大腸菌が産生する細胞膨化致死毒素(CDT)は、少なくとも5種類ある。また、赤痢菌もS.dysenteriae、 S.flexneri、 S.boydii、 S.sonneiでcdt遺伝子を保有することが報告されている。本研究では、CDT-Iファージゲノムの多様性解析およびcdt遺伝子の上流・下流領域を解析し、これらcdt遺伝子の水平伝播機構を明らかにすることを目的とした。CDT-Iファージゲノムの多様性についてPCR-RFLPで解析した結果、8つに分けた領域全てでプロトタイプと同様の結果を示した株は、調べた35株の中で1株のみであり、もう1株は一部予想される断片より大きな断片が得られた。その他の株では、一部の領域でPCR産物が得られたものの17株では全く増幅断片が得られなかった。領域8が増幅された株はcdt遺伝子の下流、すなわちファージの挿入領域がprfC遺伝子であった。それ以外の株のファージの挿入部位はserU遺伝子であった。また、cdt-II, -III, -IVや-V遺伝子を保有する株では、調べた全ての株においてPCR産物が得られなかった。 一方、cdt遺伝子の上流、下流の塩基配列をゲノムウオーキング法で解析した結果、上流域にはEHEC、 UPEC、 APECやShigella属菌で見つかっているファージ関連蛋白をコードした遺伝子が見いだされた。下流域においては、UPEC、 APECやサルモネラ属菌で見いだされたファージ関連蛋白をコードした遺伝子が見いだされた。以上の結果より、CDT-Iはファージを介して大腸菌および赤痢菌の間に広がった可能性が高いが、ファージゲノムにはかなりの多様性があると考えられた。また、cdt遺伝子の上流、下流はUPEC、 EHEC、 APEC、 Shigella菌およびサルモネラ属菌のファージ関連遺伝子と相同性が高いことから、cdt遺伝子はラムダ様ファージによって様々な菌種間に広がった可能性が考えられた
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Research Products
(3 results)