2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21590488
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
平井 義一 自治医科大学, 医学部, 教授 (00127581)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下村 裕史 自治医科大学, 医学部, 講師 (80348002)
矢野 智則 自治医科大学, 医学部, 助教 (30438634)
林 俊治 自治医科大学, 医学部, 准教授 (40260765)
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Keywords | 細菌叢 / 小腸 / 消化管 / ピロリ菌 / ディフィシル菌 / ダブルバルーン内視鏡 |
Research Abstract |
以下の検討は自治医科大学の倫理委員会の承認を得て、臨床研究として行なった(出血部位検索など健康成人に近いと思われる患者)。昨年に引き続き、ダブルバルーン内視鏡を用いて、主として小腸から粘液を採取し、各種培地を用いて、嫌気性菌を含む棲息細菌の定量的解析を行った(胃・大腸も含む)。採取粘液ではpH、胆汁酸濃度、IgA濃度なども測定した。粘液採取においては、嫌気的状態をでき得る限り保持した。 胃液のpHが3以下であるヒト(多くはピロリ菌に非感染)を検討した結果、全菌数は消化管下部へ進むに従い増加したが、腸内細菌科である大腸菌やクレブシェラ属菌は中部空腸から下部空腸にかけて著明に増加した。嫌気性菌では十二指腸・上部空腸でも少数が検出されるが、下部空腸になると劇的に増加し、その後回腸に入ってもゆるやかに増加した。中部回腸からは嫌気培養総菌数が好気培養菌数を明確に上回った。下部空腸から嫌気状況が進行し、回腸に入ると嫌気状態が確立することが判明した。また、胆汁酸濃度の解析から、水分は空腸部分で吸収され、胆汁酸は上部回腸で回収されることが明示された。ピロリ菌感染者(pHが3以下のヒト)での検討ではピロリ菌は空腸末端部まで培養で検出された。ピロリ菌は予想より胆汁酸に抵抗性であり、嫌気性確立に伴って培養出来なくなると思われる。ディフィシル菌は被検患者(3ヶ月以前より抗菌剤投与なし)で50%程度の高率で、ディフィシル菌が検出され、分離菌の約半分は毒素遺伝子を保有していた。これは予想よりはるかに多い分離頻度である。また、ディフィシル菌が分離された患者のほとんどは回腸でも菌が分離された。さらに、各患者で複数の分離株の遺伝子をPCRで検討したところ、多くは均一と思われたが、明らかに不均一な場合もあった。これに関しては、さらに検討する。
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Research Products
(5 results)