2009 Fiscal Year Annual Research Report
宿主免疫応答におけるカンジダ核酸成分の認識とCタイプレクチン受容体による調節機構
Project/Area Number |
21590489
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
宮里 明子 Saitama Medical University, 医学部, 講師 (50400370)
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Keywords | Candida albicans / 自然免疫 / dectin-2 / Toll-like受容体9 / 核酸成分認識 |
Research Abstract |
本研究はヒトの口腔・腸管内の常在菌であるCandida albicansに対する宿主免疫の理解のため、Toll-like受容体9(TLR9)によるCandida DNAの認識機構と糖鎖成分を認識するdectin-2シグナルとの相互作用を検討している。Candidaの酵母型菌体をTLR9遺伝子欠損マウス(TLR9KO)に経静脈的に投与し臓器での菌数の検討を行ったところ、野生型のマウスと比較し差はみられなかった。しかし経過中TLR9KOにおいて有意に体重減少がみられたことから、菌体の排除能に差はないものの、両者で異なる免疫応答が誘導されたことが予想される。今後各臓器の組織所見、浸潤細胞分画等の解析を行う予定である。一方In vitroの検討では、Candida DNAとマウス骨髄由来樹状細胞(BM-DC)をTLR9リガンドであるCpGあるいはCandida DNAと共培養して上清中のサイトカインを測定した。その結果TLR9のリガンドはTh17型とTreg型のサイトカイン産生を誘導する傾向がみられた。TLR9シグナルとdectin-2シグナルの検討ではHEK293細胞にTLR9、dectin-2遺伝子の導入を行いCandida DNAによるNF-κB活性化能をみたところ、dectin-2の導入によってTLR9-NF-κBのシグナルが抑制された。またマウスマクロファージ細胞株RAW細胞にdectin-2導入するとTLR9の刺激によるTNF-α産生の低下がみられた。さらにCandida DNAでBM-DCを刺激したところ、TLR9だけでなくdectin-2の遺伝子発現が増加した。Hall et al (Immunity, 2008)は細菌のDNAが腸管免疫細胞のTLR9に認識され、Tregの抑制を介してその他の病原微生物に対する免疫応答を促進することを報告している。Candida DNAがTh17とTreg型応答を誘導する可能性があること、またdectin-2によってシグナルが調節される可能性が示されたことは、腸管免疫をさらに理解するうえで重要なものであると考える。
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