2010 Fiscal Year Annual Research Report
宿主免疫応答におけるカンジダ核酸成分の認識とCタイプレクチン受容体による調節機構
Project/Area Number |
21590489
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
宮里 明子 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (50400370)
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Keywords | Candida albicans / 自然免疫 / TLR9 / dectin-2 / 相互作用 |
Research Abstract |
今年度は、Candida albicansに対する自然免疫受容体のTLR9およびdectin-2認識の生体内相互作用を理解するために、両受容体遺伝子欠損(TLR9KO、 dectin-2KO)および野生型マウスを用いて解析を行った。 In vitroの検討で、各マウス骨髄由来樹状細胞(BM-DC)をCandidaから抽出したDNAで刺激したところ、TLR9KO同様にdectin-2KOのBM-DCにおいても著明にIL-12p40などのサイトカイン産生能が低下していた。このことからTLR9だけでなくdectin-2がCandida DNAの認識に関わっている可能性が示唆された。またin vivoの検討で、Candida albicans菌体をTLR9KO、 dectin-2KOおよび野生型のマウスに経静脈的に投与し生存率を観察したところ、dectin-2KOは西城らの報告にあるようにCandidaの感染に対して感受性が高かったが(Immunity 2010)、TLR9KOはやや耐性を示した。経過中の体重変化の観察でも、TLR9KOはdectin-2KOおよび野生型マウスと比較して感染後の体重減少が少なかった。以上のことからTLR9による認識はCandida感染防御に抑制的に働くことが考えられたため組織学的検討を行ったところ、感染腎においてdectin-2KOマウスでは好中球が、TLR9KOではリンパ球の浸潤が中心にみられた。今後はdectin-2およびTLR9の両遺伝子欠損マウスの検討も含めて浸潤細胞および免疫応答の詳細な解析を行う予定である。 このように受容体の認識による免疫応答の差異および相互作用を明らかにすることは、真菌感染に対する免疫調節療法などの開発に重要な情報を与えるものであると考える。
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