2009 Fiscal Year Annual Research Report
ウエルシュ菌β毒素の細胞膜ラフトを介する情報伝達系活性化の分子機構の解析
Project/Area Number |
21590500
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Research Institution | Tokushima Bunri University |
Principal Investigator |
永浜 政博 Tokushima Bunri University, 薬学部, 教授 (40164462)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 敬子 徳島文理大学, 薬学部, 助教 (90170315)
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Keywords | ウエルシュ菌 / β毒素 / THP-1細胞 / マイクロドメイン / ホスホリパーゼC |
Research Abstract |
β毒素の免疫系細胞に対する作用を解析するため、セルライン化された血液系の細胞であるHL-60細胞、THP-1細胞、U937細胞、BALL-1細胞、MOLT-4細胞にβ毒素を作用させたところ、いずれも細胞の膨化が観察され、本毒素は血液系細胞に作用することが初めて明らかになった。この中で、THP-1細胞とU937細胞にβ毒素は感受性がもっとも強いことが判明した。さらに、本毒素の細胞毒性は、ラフトを破壊するMbCD処理で阻害されることが判明した。そこで、毒素感受性の差を明らかにするため、各細胞のマイクロドメインへの結合を、[^<32>P]ラベルβ毒素と各細胞をインキュベーション後、ショ糖不連続超遠心法でラフト画分を単離し検討した。その結果、β毒素は感受性が強いTHP-1細胞とU937細胞のラフトに、オリゴマーを形成して強く結合することが判明し、本毒素に対する感受性は、毒素のラフトでのオリゴマー形成量の差によることが明らかとなった。そこで、免疫系細胞に対する本毒素の結合を検討するためβ毒素に対する抗体と蛍光ラベル2次抗体を用いて細胞に結合した毒素を染色すると、本毒素は、細胞膜表面に結合し、細胞内には侵入せず、細胞表面で働き、細胞の膨化を誘導することが明らかとなった。一方、β毒素によるTHP-1細胞の膨化は、内因性ホスホリパーゼC活性を阻害するU73122処理で、有意に抑制された。すなわち、本毒素は、血液系細胞膜のラフトでオリゴマーを形成後、細胞膜のホスホリパーゼCを活性化して、何らかのシグナル伝達を活性化して、細胞毒性を示すことが考えられる。
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Research Products
(4 results)