2010 Fiscal Year Annual Research Report
C型インフルエンザウイルスの増殖過程における第二の膜蛋白質CM2の役割の解明
Project/Area Number |
21590505
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
村木 靖 金沢医科大学, 医学部, 准教授 (00241688)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本郷 誠治 山形大学, 医学部, 教授 (90229245)
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Keywords | C型インフルエンザウイルス / CM2蛋白質 / 増殖機構 / packaging / uncoating |
Research Abstract |
C型インフルエンザウイルスの第二の膜蛋白質であるCM2がウイルスの増殖過程においてどのような役割を演じているのかを明らかにすることが本研究の目的である。平成22年度は、前年度の研究で作製した2種類のC型インフルエンザウイルス様粒子、すなわち野生型(WT-VLP)およびCM2欠損ウイルス様粒子(△CM2-VLP)、を用いた研究を行った。得られた成績を下に示す。 1. Flow cytometryを用いてVLP感染細胞を解析した。その結果、ΔCM2-VLPはWT-VLPと同じ効率で細胞表面に吸着し、侵入することが判明した。 2. 精製したVLPとニワトリ赤血球を酸性条件下で吸着させ、VLPのもつスパイク糖蛋白質HEFの溶血能を比較した。ΔCM2-VLPの溶血能はWT-VLPと等しかった。すなわち、感染細胞においてVLPの膜融合能には差がないことが明らかになった。 3. VLP感染細胞を核と細胞質に分画し、各々に含まれる遺伝子(GFP-vRNA)量を定量した。WT-VLP感染細胞では、感染60分後に核内の遺伝子(GFP-vRNA)量は感染直後の約3倍に増加した。一方、ΔCM2-VLP感染細胞では、核の中のGFP-vRNA量は減少した。このことは、endosome内のWT-VLPは適切にuncoatingされたが、ΔCM2-VLPはuncoatingされずにdegradationを受けたことを示す。 これらの結果から「CM2は、粒子のuncoatingに関与する」という結論が得られた。 本研究で得られた成果は、インフルエンザ糖蛋白質の新規の機能を提唱するものである。
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